「だははっ!なにそれギャグ?超ウケるっ」
部屋着が見たいだとか直ぐに出てこいだとか勝手なこと言って半場強引に乗せられた車。シックな黒の外車の持ち主、持田さんにそんなことを言われて、もう自分はどうすればいいのか分からなくなった。取り敢えず何に対して言われたのか理解することから始めようと、いま着ているTシャツとジャージを一通り見た。シートベルトを伸ばしてTシャツの柄を見るが至って普通だと思う。別に可笑しいところは無いと持田さんを見やると、それこそ可笑しいらしく腹を抱えて豪快に笑だした。運転中にじたばたしないで欲しいが、今は信号は赤で、夜中ということで周りに幸い車は少ない。
「っはは、椿くんってさぁ、目とか悪いっけ?」
「…?」
俺的見解では両目2.0って気がしてたんだけど。と、ニヤニヤ笑いながら言われて、当たっていたのでウスッといいながら首を縦に振った。
「えっ?!マジで?ぶっはっ!やっべぇ…」
当たっちまったー。とか嬉しいのか悔しいのか分からない言葉を盛大に吐き出しながら車を進行方向へスルリと滑らせる。
「椿君さ、百均好きだったよねぇ」
「え、あ…ウス」
あれ、この流れはどこかであったぞ。思案して辿り着いたのは、世良さんや赤崎さんに自分の服を見て最後に言われた言葉。それ百均?だった。そのあと百均じゃないですって言うと、散々ダサイだの有り得ないだのと言われ続けた。なんだか流れ的にそんな感じがして直ぐに持田さんの横顔を見た。
「やっ!違うッス、これは百均じゃないっス」
え?あれ、そうなの。と、幾分か残念がる声が真横からする。やっぱり、百均だと思われてた。そんなに安っぽく見えるのかな。それともやっぱり変とか。
「そんなに…変スか」
「うん、変」
きっぱりと言われて些かショックを受ける。言うと恥ずかしいから言いたくはないけど言っとかないと自分の趣味を疑われてしまう。
「う…母さんが送ってくるんス」
「……ぶっ…ふはっ…」
持田さんは信号が赤になり車を停めてからハンドルに顔を伏せ笑い始めた。
「わっ笑わないでくださいっだって着ないと勿体無いじゃないですかっ」
「だっはは…違いねぇわ…」
そういうとこ好きだな俺。と、言ってから、でも普段着がそんな感じになっちゃうと困るから服買いにいこうね。と言った。いつのまにか車は進んでいた。
「ふっ普段着は普通ですよ…持田さんがいきなり呼ぶからです…」
「いーじゃん、12時には俺の家に着くよ、そしたら魔法がとけるから、」
そのへんてこな部屋着ともおさらばだよ。と、実に嬉しそうな横顔が見えて、少しいたまれなくなった。というか、いまになって恥ずかしくなってきた。指を弄んでいたら、持田さんの手が絡み付いてきて震えてしまった。
「っ…とけるって…どうなるんスか」
「へぇ、かまととぶっちゃうんだ椿君」
そんなことないです。という言葉は、スルリと抜け出て顎をすくった手と唇に阻まれてしまった。唇は直ぐに離れて、もちろん、産まれたまんまでしょ。と耳元で囁いたと理解した時にはまた手が握らていて、持田さんは前方を向いていた。
逆さまサンドリヨン
(101201)
初のモチバキ(^q^)なんというわかりにくい話なんだ。椿の部屋着がダサいという情報をゲットしていた持田(^q^)寮から椿を連れ出す王様を書きたかったんですw王子様ならず王様。
シンデレラ(サンドリヨン)は魔法とけるとみすぼらしくなりますが、椿は魔法とけてむしろヒャッホイ\(^^)/になるよ!な王様
椿はセンスないというか勿体無いとかいいつつ百均ではバンバン買うような子なら可愛い…
壱汰