面白いと聞いたDVDを借りて、一緒に見ていたけれど、あまり夢中になれるものではなくて、それが相手も同じだったのだろう。床においていた手に手を重ねられて驚いて横を向くとキスされた。すぐに離れてポカンとした顔でもしていたのだろう、ザキさんはフッと顔に笑みを作ってまた顔を近づけてきた。さっきはいきなりだったから目を開けたままだったけど、今度は閉じてザキさんに委ねる。啄むようなキスから唇を割り舌が進入してくる。気持ちが良いなんて思う自分はなんていやらしいんだろう。それにすら、興奮してる自分がいる。
 キュッとザキさんのパーカーを引っ張るとキスしながら笑われた。幸せだ。なんて。自分から舌を絡ませ様として、ザキさんが離れた。いつもなら、するのに。頭の中にその情景を思い浮かべて真っ赤になる。ザキさんのパーカーを握る手が震える。

「椿…」
「あ…の…」

 ザキさんを見上げると至極困った様な顔。上った血が一気に下がる。嫌われた?

「あ…」
「待て待て違う…なんつーか、」

 身を引こうとしたら両手を掴まれて、引き寄せられる。顔を寄せられ額をコツンと合わせる。

「…コンビニ行かね?」
「?」
「…あー……っと……」

 ザキさんはジッと見つめる俺に、観念しましたと少しだけ笑って、手を引いて立ち上がった。

「ゴム…切らしてんだ」




 別にいいのに。なんて言葉は到底自分の口から零れる筈はなくて。マフラーを巻かれて大人しく寮から出る。もう季節はすっかり冬だ。真っ暗な道すがら、前を歩くザキさんのパーカーの裾を引っ張る。

「つばき…怒ってんの?」
「…なんで」

 ですか、という言葉は真っ白な息と一緒に宙に溶けた。

「や、なんとなく」

 自分は怒っている?自分に問いかけて、違うなとまたパーカーをギュッと握る。

「嬉しかった…ス」

 男同士には不必要なモノ。それでも有るのと無いのでは雲泥の差。身体のことを気遣ってくれている。自惚なんかじゃない。それが、なんだか物凄く気恥ずかしくて歩みを早めた途端、ザキさんが立ち止まって振り返る。

「…当たり前だろバーカ」

 パーカーを掴んでいた手はいつの間にかザキさんの手の中で、ザキさんの熱が伝わる。
(ああ…好きだな、)


コンビニまであと少し


(121118)
サブタイトルはコンドームでしょうか←
本当はこう、ゴムを全面に出した話を書こうと意気込んだんですが。なんぞこれ。
コンドームネタ好きなんですよね。(どういうこと)
男同士にコンドームにコンビニ。このキーワードで色んな話しかけるぐらいには好きなキーワードです。変態ですみません\(^o^)/
今回は、しっとり終わらせてあとがきで台無しにするという作戦です←
赤崎さんゴムのストック切らすとか…あり得なさそうですよね。相手が椿だからですよ。なりふりかまってられん。イレギュラーに可愛さ発揮してくるので赤崎さん予定になくとも盛る。とか萌えますよね。

壱汰



 


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