※R


「…ぅや…ん…にゃ…」
「おま…っはは…猫みたいに…啼くなほんと、」

 犬のくせして、と笑いながら言われて一気に顔に熱が集中した。両手で口を塞いでふるりと頭をふる。狂気じみた瞳に見下ろされ涙が後から後から伝って耳の辺りをしっとりと濡らす。いつからだっただろうかこういう関係になったのは。同性同士でも体の関係っていうのだろうか。ザキさんの柔らかいベッドのシーツがやけに冷たく感じて、行為事態が発する熱は熱い筈なのに体の芯から冷えていくみたいで息をするのも苦しい。

「ひ…んぅっ…ザキさっん…いたっ…」

 いつにも増して内を傷つけるかのように抉るザキさんのモノにズキズキといたるところが悲鳴をあげる。せり上がってくるのは快楽ではなく苦痛ばかりで、頭の中はぐちゃぐちゃで吐きそうになる。
 今日はなんでこうなったんだっけ。思い出そうとするといきなり膝裏に手を差し入れられて足を腹部の方へと折り曲げられた。腹部が圧迫されオマケに上から律動を繰り返されて頭が一瞬真っ白になった。

「ぅああっ…ひっ…くぁ」
 上手く息が出来なくて口を開閉させることしか出来ない。苦しい。そう思った瞬間に奥深くにに熱いものが放たれそのあまりの熱さに己も白濁を吐き出すはめになった。

「はは、好きじゃなくてもイケるんだ…淫乱だな…つばき、」

 ボンヤリとザキさんの言葉が頭を掠めるが自分はザキさんの腹部にも散ってしまっただとか気持ち悪くはないだろうかという心配に支配されていた。あと、自分の肺は酸素を求めパクパクとさながら酸欠状態の魚の様であったと思う。

「おまえ…王子に…なつきすぎじゃねぇ?」
 王子だけじゃねぇよな。監督に世良さんに村越さんに持田さんに…。
 まだ酸欠なのかボンヤリとする頭で一生懸命ザキさんの言葉を拾う。なぜ今その話なのだろうか。出されていく自分の身の回りの人の名前。『なつく』というような行動を特にとった覚えはない。いつも通りだ。人との関わりが苦手な自分はザキさんがいうような関わりがもてる奴ではない。
 分からないといった顔を浮かべていたのだろう、眉をしかめ舌打ちをされた。ビクリと震えてしまいそれを見てザキさんはまだ入っていたモノをまた上からグッと押し入れてきた。

「ひぁあっ…ああっ…ンンっ」

 ザキさんの考えていることが全く分からない。怖くて涙がいよいよ止まらなくて男がこんなに泣くのが恥ずかしくて、内を穿たれながら両腕で顔を隠す。

「ンッン…もっ…やぁっ…」

 否定の言葉が口から零れた瞬間に口端から垂れた唾液を舐められた。驚いて腕をあげると目の前にザキさんの苦しそうな顔。名前を紡ぐ間もなく唇を塞がれて熱い舌が口腔を舐めたり、舌を吸ったりと忙しなく動く。初めての感覚に何も考えられなくてされるがままだった。

「っざ…きさ…」
「なんでっ…なんで俺には馴れねーんだよっ」

 こんなに好きなのに。苦しそうな傷付いたような表情を浮かべるザキさんが掠れた声で呟いた言葉に困惑した。涙目のザキさんが目に映った。

「ザキさんは狡いっ…ス。俺…好きだなんてさっき初めて言われました…きっ…す、だって…」

 ザキさんの馬鹿。そう言ったら涙がまた関を切ったように流れ始めて、気づいたら号泣。焦ったようなザキさんの声が俺の名前を呼ぶ。何だかそれだけで嬉しくてザキさんに触れたくなった。
 未だにザキさんのモノが入っているので足を背に絡ませて首筋に抱きついた。

「ザキさん………俺…好きです……ザキさんのこと…すき」

 そう言うとグイッとザキさんにはがされて、ベッドへと頭と身体が沈み込んだ。瞬間的に顔を隠そうとした手はザキさんの両手に掴まれてベッドへと縫い付けられた。

「つばき…まだ、中にあるって知ってるかよ、」
「う…ぁ……ふぁい」

 口にされると恥ずかしくて、更にザキさんのモノが些か大きくなって変な反応を返してしまった。ザキさんはというと、そりゃあでかくもなると真顔で言ってから、何が可笑しいのか笑った。

「椿…俺…お前のこと好き…って、態度で示してたつもりなんだけど気づかねーんだもんな、」

 言葉にしねーとな。そう言ったザキさんは俺の額、瞼、頬へと唇を滑らして、擽ったいと笑う俺の唇にキスして、大好きだと笑った。


言葉の海に溺れたい



(100930)
身体の関係だけのザキバキもよくないですか←
まぁ好き同士なんだけど結局。
ザッキーを持田の次に酷い男にしたい←
もう誰が誰やらわからん(・ω・)

壱汰

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