志摩の意外にも大きい手のひらがスッと伸びてきて、馬鹿みたいに反応してしまった。志摩はゆるく笑って、大丈夫やよ。と言って手のひらがまた動いて俺の服の襟元を引っ張った。ゆったりと触れる指先がボタンをツッと引っ張る。あ。と、漏らして志摩を見ると取れそう、と呟いた。本当だとボタンに触れると簡単に取れてしまって、ボタンを手のひらに乗せる。志摩はと言うとどこから出したのか、小さな箱を鞄から引っ張り出していた。

「縫いましょか?」

 一瞬何を言われたか分からなくてポケッと志摩を見つめてたけど漸く分かって小さく頷いた。志摩の指先がネクタイを抜き取り一つずつゆっくりとボタンを外していくのをボンヤリと見ていた。最後まで外した志摩の手が止まる。不思議に思って志摩を見上げると少し困った様に眉を下げていた。

「脱がすのもええですけど…」
「へ」

 志摩の意図することが漸く分かって急いでシャツを脱いで志摩に押し付ける。なんだか気恥ずかしくてクルリと後ろを向く。すると背中にトンっと体温を感じて、ぐっと体重をかけられる。横を向いて後ろを確認するとピンクの髪の毛が見えて、なんとなく黙っておいた。此方からも体重をかけると丁度よくつりあう。背中合わせ温かいななんて溢したら志摩が身体を揺らして笑った。

「志摩…裁縫」

 出来るんて?先に読まれた言葉に素直に頷く。志摩はコツリと後頭部に頭を押し当ててきて、意外とか思ってはります?なんて聞いてきた。意外というか、なんというか。

「どうせ、モテるからとかだろ」

 ほら、ギャップ萌えってやつとか。と言ったら、ギャップ萌えはええですね。なんてまた身体を揺らして笑う。笑うなよと立ち上がろうとしたら、スルリと腰に腕をまわされて引き寄せられる。首筋に唇を押し当てられて声もでなかった。

「坊主ですから」
「…坊さんはこんなことしない」

 腹部を撫でる手をつねると痛い奥村くんとか言いながらも、今度は両手で後ろから抱き締められる。ボタンは。とグリグリと首筋に額を擦り付けてくる志摩のピンクの髪を引っ張る。

「いたっいたいっ…禿げてまいますやん、奥村くん」

 志摩は禿げる禿げると言いながらやんわりと、髪を掴んでいた左手に手を添えられて腹部の辺りで何かを始める。

「終わりましたーよ、ボタンも」
「え、はや…ん?」

 左の小指に違和感を感じて。左手を開くと、ツンッと引っ張られた。

「え」

 赤色の糸が小指と志摩の小指に絡まっていた。志摩を振り返ると唇に唇が掠められて、一瞬離れてすぐにまた唇を塞がれた。

「赤い糸…」
「そやね、俺に繋がってますやん」

 お前がやったんだろとは言わないで、志摩に凭れて、うん。と頷いて志摩の手に手を絡める。するとまた後ろから痛いぐらいに抱き締められた。

「坊主困らせんといて下さい、かいらしすぎでしょ」


絡める過去と未来


(0601)
不発でした(´;ω;`)
坊主を困らせたかったんだが←

壱汰




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