お昼ご飯の後チャイムが鳴り、必ずしもみんなが眠くなる5時間目が始まる。…ヤバ、眠いぞ…。何で5時間目ってこう眠くなるんだろうか。お腹が満たされたから?まぁそんなのどうでも良いや。暖かい日差しと心地好い風が窓から入ってきて、窓側の席という事もあり、それはとてもとても私の眠気を誘うには十分で瞼が徐々に下がってくる。もう寝ちゃおうかな…。そう考えてる内に私は意識を手放した。 ・ ・ ・ 「起きやがれ、阿呆!」 バコンっ!!という鈍い音と、怒鳴り声が頭上から降ってくる。誰だ私の眠りを妨げる失礼極まりない輩は。ぼんやりとした視界の中、上を見やれば凄い剣幕で眼帯がこちらを見下ろしていた。 「っ!………佐久間先生?」 「昼休みからずっと寝てんじゃねーよ!」 「痛った!」 丸めた教科書でまた叩かれる。一発目も恐らく同じ凶器で私を殴ったんだな…。何て酷い人なんだ!元々酷い人だけど更に酷くなった!しかも、この眼帯野郎の所為でまたみんなの視線が私に集まってるじゃないか。前にも注目浴びて、後で散々みんなに笑われたのもなにもかも全部この眼帯野郎の所為だ。 「ったく…早く教科書開け」 「…へーい」 「いっつもいっつも寝やがって。次寝たら容赦しねーからな」 「今までだって容赦なかったですよ」 ボソッと文句を吐けば、振り返り睨みながら「なんか言ったか」と問われたから慌ててに頭を横にブンブンと振る。「じゃあ53ページの6行目から、名字読め」「…はい」めんどくさいなと思いながら席から立ち上がり指定された所を読む。 ・ ・ ・ ………あれ?おかしいぞ?私、もう2ページも読まされてるんだけど。いつになったら…はっ!佐久間先生の顔を見たらいつになく、あくどい顔をしている。これは確実に苛められているな、私。 佐久間先生もそうだけど基山先生も、生徒が居眠りしてたら必ず何かしら授業中に罰として難しい問題の所をヒントなしで解かせるとか…色々してくる。基山先生なんてペナルティとか言って大量の宿題をよこしてくるんだ。もちろん、私はやらないわよ?いや、正しく言えば解けないからやらない。なんて考えてたら、佐久間先生の不機嫌な声が私を止める。 「もういいぞ」 あーやっと読み終わった。足が疲れたよ、眼帯野郎の所為で。「ふぅー」席に座り、地上遥か上空の弧状の空を見れば太陽と目が合った。眩しいっつーの。直に、太陽を見てしまい目がチカチカする。あーあ、本物の太陽じゃなくて南雲先生に会いたいな。…あ、南雲先生も本物の太陽みたいだよね。ふふっ。 ・ ・ ・ 無機質なチャイムが鳴り、授業の終わりを知らせる。…はあ、疲れたな。溜め息を漏らしながら、席から立ち上がり掃除の態勢に机を並べて、掃除の持ち場に向かおうとした時に眼帯野郎に呼び止められる。何だよ。 「何ですか、中二び…佐久間先生」 「お前、今中二病って言おうとしたろ」 「はい?何の事だか」 「てめえ…」 怒りマークとは、佐久間先生の為にあるんじゃないだろうか。だって、私が見る度に常に怒りマークを付けてる気がするもの。ほら今も。 「で、何です?」 「さっき、考え事しながら読んでたろ」 「そんな事してませんよ?」 「嘘吐け。良くもまぁ、上の空状態で読めたな」 半ば呆れながら、いや呆れまくりながら誉められる。なんか、こういう時の佐久間先生って親友の名前と似てるなぁ。若干だけど。 「佐久間先生の事考えていたって言ったらどうします?」 「阿呆。大方、南雲の事でも考えていたんだろ」 私は冗談で言ったのに、佐久間先生は冗談返ししないで私の図星を押す。それと同時進行に顔に熱が集中し始めた。 「…わ、WHY?」 「そんな真っ赤な顔でガチガチに震えて言われても説得力の欠片もねえぞ」 「ワタシ、中二病ノヒトノコトバワぁカリマセーン」 「誰が中二病じゃゴラああ!!!」 すかさず拳を振り上げる佐久間先生に、ちょっとだけビビりながら反論する。 「ぼ、暴力はんたーい」 「うるせぇ!今日と言う今日は許さないからな!」 「やーめーろーよーまーじーでー」 「知らん。今日はもう南雲に会えないからな」 「え、ちょ待ってそんなの聞いてな「今言ったからな」いやいや洒落にならんて。マジ」 「ドンマイ」 「そんなのいやああ!!」 会えなくて寂しいです、先生! (珍しいな…名字が俺の所に来ねえなんて) |