今日もまたいつもと同じ場所で、二人肩を並べお弁当を開いている。いたって私は楽しいのだが、隣に居る親友の名前は落ち込んでいるのか彼女の周りには、どよんとした重たい空気が立ちこめている。 「はあ…」 「…？親友の名前どうしたの」 いつも呆れて溜め息を吐く事がある親友の名前が、今日は珍しく悩んでいると分かる溜め息を吐いてる。仕舞には、「卵焼き…いる？」となんとも頼りないか細い声で眉毛を下げて言われた。親友の名前自らおかずをあげると促す言葉を言うなんて…明日は雪ね。 「いる！っじゃなくて、どうしたのって」 「うん……いや、気のせいかもしれないんだけど」 眉毛だけじゃなく肩も下がっている親友の名前に相づちを打ちながら彼女のお弁当から可愛くタコさん型になったウインナーを頬張り、先の言葉を待つ。親友の名前がここまでどよんとした重たい空気を作りだしているんだから、きっと涼野先生絡みで間違いないだろう。「…私さ、涼野先生に避けられてる気がする」ほらね。 「…卵焼きおいしーねー」 「おい」 「だってそれ親友の名前と涼野先生の問題だもん。私がどうこう言える事じゃないでしょ。それにもし、何か言って二人がどうにかなっちゃっても私責任取れないし」 「二人が私の所為でどうにかなっちゃうのも嫌だしね」と付け足して親友の名前のお弁当から今度は肉団子を勝手に口に運ぶ。やっぱり親友の名前のお弁当はいつも美味しいなあ。いや、私のも美味しいよ。だが、なんか人のお弁当って自分のよりも数倍美味しく感じるんだよね。そう考えると人間は本当に不思議な生き物だと柄にもなく思う。 視線をお弁当から隣に移すと、先ほどの私の発言に対して吃驚したのか親友の名前が目を見開いて私を見ている。いや、吃驚したから見開いてるのか。 「…うわあ、名前が久しぶりにまともな事言った」 「なにそれ！」 「だってあんたってさ、ポジティブの塊じゃん。ネガティブなんて言葉知らなさそう」 「そりゃあなんたって私はポジティブの申し子だからね！100％ポジティブで出来ていると言っても過言ではない！」 そう過言ではないのだ！といつぞやの涼野先生みたく、どや顔をしてみせる私に意地悪く笑った親友の名前。どうやら機嫌は治ったらしい。いつの間にか先ほどまでの重たい空気はどこかに消えていた。 「へー…南雲先生への愛で出来てるんじゃないんだ」 「あっ…、」 「言ってやろーっと」 「ちょ前言撤回！前言撤回！」 私はポジティブと南雲先生への愛で出来てますよ、先生！ 「ああ！お弁当のおかずほとんど無い！」 「てへっ」 「名前ーーー！！」 |