「親友の名前ー!」
「あれ、名前?おはよう」
「おはよー」
「珍しく早いね、いつも遅刻ギリギリなのに」
「ふふん、まあね」
「あのねこれが普通だから」
「ほっとけ」


確かに今日は珍しく遅刻しないで来れた。別にこれといって大切な用事があった訳ではないけど、朝早くに目が覚めたから早く来ただけ。でも、早起きは三文の得とは言うけれど私、何の得もなかったなあ…。そう思いながら、今日は教育実習生が来る事を思い出し親友の名前に問う。


「そう言えば聞いた?」
「何を?」
「今日から教育実習生が来るんだって!」
「へー初耳。担当教科は?」
「んー、そこまでは知らないんだよねー」
「そっか」


学校に着いて、上履きに履き替え、親友の名前と別れて教室に向う。



「SHR始めるから席に着け」


ガヤガヤと五月蠅い教室に、涼野先生が入ってきて先程の一言で各々「はーい」だの「へーい」だの言って席に着きだす。


「先週言った通り今日から教育実習生が来る。SHRが終わったら体育館に椅子を持って移動する様に」


えーめんどくさいな。涼野先生の話を聞きながら隣の女子に「めんどくさい」と口パクで言えば「私も」と笑顔で返ってきた。



体育館に椅子を運び、男女一列に並んで座る。生徒会長の話を聞いてるうちにだんだん下がってこようとする瞼と私は必死に格闘していた。欠伸を1つ溢して、校長先生の教育実習生の紹介を聞いて吃驚。


「まじで…?」


ステージの上に居るのは校長先生と昨日会った麻呂眉さん。教育実習生だったんだ…あ、ヘッドホン付いてる。なんで?まあ教育実習生なんだからどうせ1年生の所で「えー、成神健也先生の担当教科は理科。2年生のクラスを日替わりで回っていくことになります」おいいい!そりゃないよ!私のクラスの時めっちゃ気まずいじゃん!主に私が!しかもなんで理科なの?!理科にヘッドホン関係ないよ!色々とツッコまずにはいられなくなり心の中でツッコむ。主にヘッドホンについて笑いたい気持ちを堪えて、親友の名前のクラスを見たら唖然としてる親友の名前と目が合った。


「成神健也です。帝国大学の生徒で、鬼道教頭先生、佐久間先生、源田先生の後輩にあたります。1ヶ月弱の長いようで短い期間ですが、よろしくお願いします」


へえーあの佐久間先生と源田先生と鬼道教頭先生の後輩なんだ。そんな事より、今後あの麻呂眉さんとどう会話をしたら良いか考えなきゃ…。悶々と考えると、肩を後ろから突かれて振り返る。「南雲せんせ寝てるよ…ほら」と友人が小声で言いながら指す方を見れば壁にもたれながら腕組みをしたまま立ちっぱなしで寝てる南雲先生が居た。


「うわあ、かっこいい」


思わず、本音が小声で口から出る。近くで見たいな。思いっきり、他の先生の話なんて聞かないで南雲先生に見惚れていたら「…あ」起きちゃった。南雲先生は、髪を掻きながら欠伸を1つ溢してふと、こちらに気付き、見られていたのが恥ずかしかったのか顔を真っ赤にしながら「こっち見んなっ!前を見ろ!」とでも言いたそうな顔でステージの方を顎で指していた。



可愛いですね、先生!


「先生ー!さっき寝てましたよね?」
「う、うるせえな!」
「あははっ!先生また顔赤いですよ!」
「お前の眼球が赤い所為だろ!」
「ちょ、それ病気じゃないですか…」
「名字の頭がな」
「酷い!」

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