本日、私は人生で初めて間違いを犯しました。南雲先生が、多分冗談だろうけど「今日の保体見とけよ!」なんて眩しい笑顔で言うもんだから数学をサボってしまいました。そして今、基山先生に課題と言う名の苛めを受けております。かなり扱かれています。助けて下さい。
この私に数学なんて分かる訳ないじゃない。分かったら総理大臣になれるってくらい、難しい問題ばっか出してくるとか佐久間先生より質が悪い。


「もう嫌だあ…つまんないし、疲れた」
「ねぇ、何で名前は髪短いの?」
「私の話聞いてました?」
「聞いてたよ。髪伸ばさないの?」


聞いてないじゃん。私の話を全く聞かないで、自分の質問をにこにこしながらぶつけてくる。


「伸ばしませんよ。あと、軽々しく名前で呼ばないで下さいビッチ先生」
「えー伸ばしたら似合うと思うけど?別に、俺と名前の仲じゃない」
「邪魔だったからもう伸ばしません。変な疑惑立てないで下さいビッチ先生」
「じゃあ前は長かったんだ?」
「まあ…」
「へえ。髪の長い名前見たいな」
「課題無しにしてくれたら見せてあげても良いですよ」
「じゃあいいや」


爽やかに笑って言う基山先生に私の堪忍袋が切れた音がした。こんのくそビッチ!ふざけんな!この暑い中、クーラーも扇風機も無しで課題やらされる私の身にもなってよ!悪いのは私だけどそんなの気にもせず、基山先生を睨む。


「名前って面白いね」
「ほぉーですかビッチ先生」
「くすくす…ねぇ、なんで晴矢の事好きなの?」
「は?」


さらっと唐突にしかも直球に私の恋愛事情について聞いてくる。佐久間先生といい、何故こうも簡単に好きな人がバレてしまうのだろう?この人たちはエスパーか何かなの?「分かりやすいんだよね、名前も親友の名前も」「……ほっとけ」「ふふふ」「おい、ヒロト!」大雑把に扉が開きながら、声を張り上げて入って来る私の思い人。南雲先生…!ああかっこ良い。汗が髪から滴って首に伝っている。もう一度言う。ああかっこ良い。


「あれ?どうしたの晴矢」
「ん…名字?」
「っどうも」
「声裏返ってるよ」
「五月蠅いビッチ」
「どうした名字、顔赤いぞ?熱でもあんのか?」


ずかずかと入って来くる先生になんともないと伝える前に、目の前が南雲先生でいっぱいになる。先生の匂いと少しの汗の匂いが私の鼻を擽る。恐らく、おでこをくっつけて熱があるのか確認しているのだろうけど、大胆過ぎませんか?基山先生笑ってるし…あーもう!余計に顔が熱くなってきた。耳まで熱い。


「せ、先生!qあwせdrftgyふじこlp」
「あ?」



私を殺す気ですか、先生!


「なぁ晴矢、ヒロト」
「何だよ風介?」
「りんご病って中学生でもなるものか?」
「ぶぶっ!」
「うわっ!汚ねーぞヒロト!」
「ごめんごめん…風介が鈍感過ぎて」
「何か言ったか?」
「つか、俺もそれ思ったんだけど。マジでりんご病って中学生でもなるのか?名字の顔真っ赤だったぞ」
「あははっ!」
「何で笑う?!」

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