バタバタと足音を立てて私の自室の襖を大雑把に開けて来たからてっきり恋次だと思い、怒鳴ってやろうと後ろを振り返ったらそこに居たのは赤髪の変な眉毛野郎ではなく、乱菊さんの姿、格好をした男の人だった。


なにやら話を聞くと、ネム副隊長に貰ったお菓子を食べたら男の人になってしまったらしい。おそらく、涅隊長が作った変な薬でもお菓子に入っていたんだろう。けど、そこまでは良かったのに乱菊さんが「ねえ名前!せっかく私が男になったんだし、現世に行ってさデートしようよ。ねっ?」ってかっこいい顔をして言われたら断れなくて、案の定着いてきてしまった。
現世に着いて「男なんだし、紳士もんの服着なきゃよね!」って言いだして颯爽と居なくなり、帰ってきたらもう完璧なイケメンモデルと言うのになっていて、不覚にも心臓が高鳴ってしまう。


「すみませーん。今暇ですかあ?」
「暇なら私たちと遊ぼうよ〜」


私が隣に居るって言うのにそっちのけで、ひっきりなしに乱菊さんに話かけてくる綺麗な女の人たち。乱菊さんが女の時の方が綺麗だけどね。まあ、世に言う逆ナンパというのに乱菊さんが遭っている。当の本人と言えば、男としてモテるのが嬉しいのかニコニコしながら綺麗な女の人たちと話している。なによ…乱菊さんの馬鹿。デートしようって誘ってきたのはそっちの癖に。別に恋愛のやきもちを妬くとかそんなんではないけれど、なんだか兄弟にお母さんを取られた様なあの寂しい感じが胸を締め付ける。


「ねえ!これからさカラオケ行こうよ!」
「ああーごめんね。あたし…ごほん。俺この子と今デート中だからさ」


そう言って私の肩を右手で引き寄せて抱き締められる。私と言えば余りにも突然の事で吃驚し過ぎて「へ…」となんとも間抜けな声が口から漏れた。「それじゃ」とウィンクしながら乱菊さんが言ったら「なによそれ!」と怒って女の人たちは居なくなった。


「さて、デートの続きしますか!」そう言って私の手を握って歩きだす乱菊さん。
尸魂界に帰ったら乱菊さんはいつもの女の乱菊さんに戻ってしまうのに私はこの時から乱菊さんを好きになってしまった。





「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -