(※双子設定)


「明王ー漫画貸してー」


ノックの代わりに冒頭の言葉を言いながらドアを開けて入る。が、部屋には誰も居なかった。「あれ?…明王ー?」シン…と静寂が返事をする。なんだ、居ないのか…。本棚の前に立ち、考える。さて、何の漫画にしようかなー。
ただ、なんとなく漫画が読みたいという衝動に駆られて、でも自分が持ってる漫画は何度も読んでるし…と思い双子の弟である明王の漫画を借りにきた。


「ん゛ー…」


あ、そういえば朝に今日は試合だって言ってたっけ?いや、練習?……まあどっちでもいいや。
本棚に結構入ってる漫画を見ながら唸なっていると、ふとベッドが目に入った。掛け布団が盛り上がっていて、まさに今誰かが寝ていますと見えるが中はもぬけの殻。抜け出して起きたのかな?我が弟ながらずいぶん面白い起き方をするものだ、と少し感心してしまう。
「ふわぁ」欠伸を一つ零すと、なんだか眠たくなってきてしまった。きっと昨日夜更かししてた所為かな。
まるで、引力に引っ張られる様に明王のベッドに潜り込む。瞼がどんどん下がってきて、それに逆らわずに瞼を閉じた。



「おい…何してんだよ」


パシッと頭を何かで叩かれ、一気に目が覚める。目を開ければそこは真っ暗で余り何も見えない。かろうじて見えるのは眉間に皺を寄せいる我が弟。


「あー…お帰り明王」
「お帰りじゃねえよ。なんで俺の部屋に勝手に入ってしかもベッドで寝てんだよ」
「漫画借りようと思ったら明王居なくて寝たの」
「意味わかんねえよ」


キレかけの明王に「今…何時?」と尋ねると「あ?…7時くらい」と時計を見ながら言われた。「まじか!寝過ぎた!」ガバッと起き上がり、唖然とする。「ああ…!5時に見たいテレビの再放送があったのに!」と叫べば「とりあえず今すぐ退けろ」と言いながら明王が私の横に倒れてきた。


「…なんでよ」
「寝るから」
「ご飯は?」
「起きたら食う」
「駄目だよ起きなさい」
「五月蝿い」


「じゃあ明王の分までご飯食べるからね」「太るぞ」と会話をして、ベッドから出ようとしたら「ねーちゃん」と呼ばれた。


「なに?」
「一緒に寝ようぜ」


20110104





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