今日は休日で、私は学校もなくバイトもなく穏やかに過ごしていた昼下がりに、暇人な彼氏様の十三がやって来て急遽、お家デートになった。のまでは良かったのに、何故か先ほどからこの彼氏様は雑誌を読んでいる私に煙草の煙を必要に吹きかけてくるのだ。 煙草が嫌いな私にとっては嫌がらせだとしか思えない。耐えられなくて、ずっと雑誌に向けていた双眼を十三に向ける。 「ねえ」 「んー?」 「…煙たいんだけど、」 「ああ、わりぃわりぃ」 軽く笑いながら灰皿に吸殻を落として、また煙草を吸って「ふー」と、語尾にハートが付いている様な言い方で私に煙を吹きかけた。「ちょっと!」私が怒って睨めばニヤニヤしてこちらを見てる十三と目が合う。この野郎…絶対確信犯だこいつ。 「なーに怒ってんだよ」 「どう考えてもあんたの所為でしょ!」 「なんの事だか」 そしてまた語尾にハートが付く様な言い方で煙を吹きかけてくる。頭に来て立ち上がって「いい加減にっ!」とそこまで言った私の言葉を遮って「はいはい分かったからそんなに怒んなって」なんて抜かしながら頭を撫でてきた。 「なっ!誰の所為で」 「よーしよし」 よしよし、だなんてお世辞にも十三に合ってるとは思えない言葉で私を撫でる十三の顔は珍しく微笑んでいる。珍しい事も起きるのね…と感心しながらも、こんな顔をさせているのが私だと思うと嬉しくて、怒りなど忘れてこっちも微笑んでしまう。 「なに笑ってんだよ」 「別にー」 「そんなに俺様に撫でられるのが嬉しいのか」 「バーカ。自意識過剰よ」 別に怒った訳じゃないけど、いつまでも見つめられたまま頭を撫でられていると恥ずかしくなって、ぷいと違った方を向く。 向いた瞬間に、頬に温かみを感じてわざとリップ音を鳴らして離れて行く。一瞬の事だったけどそれが、キスだと言う事にそう時間はかからなかった。 「俺を自意識過剰にしてんのは名前だぜ?」と十三のお得意のあの意地の悪い楽しそうな笑い方をして、今度は私の口にキスをしてきた。 煙草ネタ2 |