「昨日さーニュースで見たんだけど、彼女が彼氏に殺されたって言う事件あったんだってー」 「まじ?」 「まじまじ。しかも理由が好き過ぎてだって!」 「なにそれ怖っ!いくら彼氏でも好き過ぎてなんて理由で殺さるとか絶対に嫌なんですけど」 「うんうん」 そんな女子高生達の会話を夕方コンビニで聞いた。 そして私は今、正にその話題の様に彼氏である村田十三に殺されかけている。まあ、そんなのは毎度の事で。いつもは優しいけど、時たま十三の中の何かのストッパーが外れてこの様に私は首を絞められる。 何かのストッパーと言うのは、恐らく私への愛のストッパー。自分で言うのもアレだけど、こうやって私を首絞める時はいつも辛そうな顔しながら私に愛してると言うから絶対にそうだと思う。あ、ヤバイ。目が霞んできた…。目の前に居る十三の顔がゆらゆらと揺れて霞んで見える。 夕方の女子高生達は彼氏に殺される事を嫌だと言っていたけど、私はそうは思わない。だって、愛されてるのよ?愛し過ぎて殺されるなんて、彼女には幸せ過ぎる死に方じゃないかしら? 現に私はこうやって十三に愛してると言われながら首を絞められる事に幸せを感じてるし、何より嬉しい。私って愛されてるのねって実感するから。 でも、今の彼氏が十三じゃなくて元カレだったなら冗談じゃないわ。元カレも好きだったけど、だからと言ってそいつに殺されるのは癪に触る。 私を殺して良いのは、後にも先にも愛している十三だけ。 「なあ名前」 「うぐっ…」 「俺なあ…お前が好きなんだよ」 「じゅっ…ぞ」 「大好きなんだよ」 「愛してるんだよ」 ねえ十三。 私もあなたの事好きよ。大好きよ。愛してる。 こんな私の事を夕方の女子高生達が知ったら、きっと気持ち悪いとか頭おかしいんじゃないのとか言うと思う。けど、私もそれほど十三の事愛してるって事なの。 「愛してるわ」 そっと、十三の頬に右手で触れればまた十三の手に力が込めらて私の食道とか気管とかが締め付けられて首の骨がミシミシと音を立てる。 愛してる十三に愛されたまま殺されるなら、それは私にとって本望でしかない。 |