俺は今まで生きてきて人を愛した事がないし、誰からも愛された事がない。だから、俺は人でも動物でもなんでも愛し方が分からない。
だから、愛してると感じたら自分のしたいまま本能に従って俺のしたい様に愛す。


「っじゅうっぞ、う」


俺の下で顔を歪めて苦しそうな声で俺の名前を呼ぶ名前。今、俺は名前の首を絞めている。まあ、力いっぱい絞めてる訳ではない。男の持てる全ての力で女の首を絞めたら直ぐに死んでしまう。それでは、悲し過ぎる。だから、大した力も入れずに名前の首を締める。
殺す勢いで首を絞めるけど、殺しはしないで苦しめるだけ。それが俺の本能に従った愛し方。


「かはっ…」


締める力を強くする度に歪む顔。苦しくて少ししか出ないか細い声で俺の名前を呼ぶ。この時の人間ほど美しい者はない。それが俺に向けられた愛を持つ名前ならば尚更、美しいし愛しいと思う。


「なあ名前」
「うぐっ…」
「俺なあ…お前が好きなんだよ」
「じゅっ…ぞ」
「大好きなんだよ」


「愛してるんだよ」溢れだす名前への愛に合わせ力を更に込める。そうすれば更に顔を歪めて喘ぐ名前。紅く綺麗な唇からだらしなく唾液が垂れる。ああ美しい。


俺だって普通の愛し方をしてえとは思うんだぜ?でも普通の愛し方ってなんだ?分からねえんだよ。名前が愛し過ぎてこのやり方以外に、どう愛したら良いか分からねえんだよ。
何せこんなにも人を愛した事は名前しかねえんだから。


なあ。
なんで名前はこんな俺を嫌いになって、俺の傍から離れて行かないんだ?
離れて行ってくれたら、名前をこんなに苦しめる事は無いのに。


「じゅっぞ…十三」
「…」
「わっ私も…ぐっ…大好きよ」


「愛してるわ」ああ。名前。名前名前名前名前名前名前名前名前名前名前名前名前名前名前名前名前名前


アイシテル





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