暇で暇で死にそうだった私は、幼なじみである彼氏の道也の家に遊びに来た。が、道也はサッカーの研究だかなんだかよく分からないけどパソコンに向かって作業していて、全然構ってくれない。これじゃあ、家に居た時と変わんないじゃん。…まあそれでも、眼鏡掛けながらパソコンに向かってる道也を見れたのは良かったかな。ああもうかっこいいなあ。
幼なじみだからちっちゃい頃から何年も何年も、同じ顔を見てきて見飽きている所もあるけど、歳を増す事に道也がかっこ良くなってる気がする。


「みーちーやー」
「なんだ」
「ちゅーしてよ」
「これが終わったらな」
「えー……じゃあそれ終わったらしてくれんの?」
「ああ」
「よし!絶対だよ」



とは言ったものの、あれから1時間。何一つとして道也の作業は終わらない。いつになったら終わんのよ。段々、イライラしてきて我ながら短気だと思いながらも痺れを切らし道也の唇を奪う。


「…作業が終わるまでお預けだって言っただろう」
「待てなかったんだもん」


「ったく」そう言って道也は眼鏡を掛け直し、空になったカップを持って立ち上がりキッチンへ向かう。「名前もコーヒー飲むか?」「んーいやココアが良い」「了解」コポコポとお湯を温める音がキッチンから聞こえてくる。


「あ!そうだ!」


「ん?」キッチンから湯気がゆらゆらと出てる2つのカップを持って来た道也を見てある事を思い出して大声を上げる。慌てて冷蔵庫の扉を開けて、今日の本来の目的の物を取り出す。


「どうした?」
「ほれ!ハッピーバレンタイン!」
「!…チョコか」


「毎年毎年すまないな」律儀に謝ってからラッピングされた箱を開けだす道也に「彼氏にチョコあげるのは当り前なんだから謝んないの!」と言いながらデコピンをする。


「フッ…そうだな。ありがとう」
「うんっどういたしまして」


箱を開けて、今年は私にしては珍しく手作りチョコにしたハート型のチョコにチョコペンで「道也Love!」と書かれた文字を見て「中学生か」と笑われて言われてしまったけども、その道也の顔が嬉しそうだったから来年も手作りにしようと密かに心に誓う。





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