(※R-15)


以前から、私は付き合っていた彼氏の朱蓮にDVを受けていた。いや、DVと言う表現はまだ可愛いらしいものであって彼の場合はそんなものじゃない。言うなれば行き過ぎている過度の愛情表現。それに彼は明らかに何処か病んでいる所があって、些細な嫉妬でさえも彼の理性を失わせる。その度に、痛め付けてられて傷付けられて身体的にも精神的にも苦痛でそれに耐えらきれなくて逃げようするのに彼はそんな簡単に逃がしてはくれない。家に監禁されて何処にも行けず、ただ痛め付けられるそんな毎日。


今は朱蓮が出掛けていて私は何処にも逃げない様にと鎖で繋がれている。もうこんなの沢山よ!私が愛していたのはあんな朱蓮じゃない!涙目になりがら朱蓮が帰って来る前にと必死にベッドのパイプに鎖をぶつけて壊そうとする。鎖が案外脆かったのかちょっとずつだけどヒビが入っていく。
ガシャ。やっと鎖が壊れて手が自由になる。早く逃げなきゃ。玄関までの短い距離を走って、ドアを開けた所で「何処に行くつもりだ?」朱蓮が帰って来てしまった。「…あ、あ」どうしよう。冷や汗がどんどん出て来て背中を伝う。怖くてその場から動けず足や身体は震えだす。恐怖の所為で言葉さえ上手く発せられない。
私の腕を見るや否や「ふむ…逃げようとしたのか」直ぐに脱走がバレてしまった。


「ごっごめんっ、な、さ」
「今さら詫びても無駄だ」


そう言って私を抱えて寝室に連れ込み、ベッドに投げ飛ばされる。「っ!」投げ飛ばされた衝撃で痛みで顔が歪む。「仕置きだ」目も言葉も冷たくそう言い放って私に跨がり殴りだす。「や、やめっやめて!」恐怖と痛さで涙がとめどなく溢れだす。


「逃げようとした理由はなんだ」
「そ、れは…」
「どうせ私から逃げて他の男の所に行くつもりだったんだろう!」


今までに無い程の怒りの感情を露にして見たことのない怒りに歪んだ顔で怒号を上げる朱蓮。それから衣服をビリビリに剥がされていく。



「ん…」目を開ければ朱蓮が愛しそうに目を細めながら私の頭を優しく撫でていた。どうやら私は気絶していたらしい。…でも何故?私は衣服を剥がされて、それから「あ、あ、あ…ああ」どんどん記憶が戻ってきて身体が痛み、震えだす。そうだ私は朱蓮に強姦されたんだ。あちこち身体が痛いなんてものじゃないくらいに痛い。きっと感覚からして色んな所から血が出てる。


「大丈夫かい?名前」
「…っ」
「ああダメだよ動いたら。身体が痛いし苦しいだろう…?」


確かに彼の言う通り、あちこちが痛み苦しい。でも、身体と言うよりは下腹部と言った方が正しい。「君は淫乱だから君の腹には私の精液がいっぱい入っているんだ。ほら…溢れだしてるよ」その一言でとてつもない程の吐き気が押し寄せてきた。


「おえっ」
「あーあ。汚いなあ名前」


「またお仕置きをせねばならないな」と言ってから怪しく狂った様に笑ってから私の左手に手を伸ばした。何をされるのかと思ってびくびくしていたら親指の爪に優しく触れてから何の躊躇もなく勢い良く爪を剥がされる。「イギヤアアア」泣き叫んでなんとか抵抗しても全部回避されてしまう。
ふと朱蓮が近付いてきて耳元で「これだけじゃ済まされない」と言って無防備だった私のそこに無理矢理奥まで突き上げてきた。「んっああっ」快感と爪を剥がされていく耐え難い痛みと朱蓮への恐怖でもう何も抵抗で出来なくなった私はただ大量の涙を流していく事しか出来ない。
遠くなって行く意識の中で聞こえたのは「愛している名前」と快感に顔を歪めながら囁いた朱蓮の声だけ。



再び目を覚ますともう外は真っ暗で私はちゃんとパジャマを着て布団入っていた。隣には朱蓮が何事もなかった様に寝ている。
夢…だったの?ホッと胸を撫で下ろした時、左手に違和感を覚える。左手を見れば血の跡形もなく綺麗にされていた指には本来在るはずの爪がそこにはなくなっていた。
夢、じゃない。今は朱蓮が眠っているから逃げられる。どうしよう。逃げてもまた捕まる。怖い。なら殺せば良い。色んな感情が一気に込み上げてきてまた私の身体は震えだした。

ふと

―殺せば良い―

そんな感情が私を支配する。そうだ殺せば良いんだ。殺せば朱蓮は居なくなる。そうよ私はこれで自由になれる。殺せば良いのよ。
そして私は感情のままにキッチンから持ってきた包丁で朱蓮を何度も何度も何度も刺しては切り付けた。「今までの借りよ!」と叫びながら。最後には朱蓮の身体をバラバラにした。



あれから一体何時間経ったのだろう…。朱蓮を殺してから呆然と座ったまま時間は過ぎて行く。隣には朱蓮とは判断しづらい無残な姿をした朱蓮が血の海に浸っている。…このままだと警察に見付かって私は捕まるわ。捕まったらせっかく手に入れた私の自由が奪われてしまう。
カタカタと震える手で先程、朱蓮を殺した包丁を持ち自分の胸の前で構える。さようならお母さんお父さん。


「さようなら朱蓮。私も愛してるわ」


それから自分の胸に包丁を突き刺した。



そしてまた再び目が覚めればそこは不規則な形をした白い石柱が何処までも立ち並んでいる所で周りには虚ろな目をした人と呼ぶには少々問題がある人達が居た。ジャラっ。私が動いた瞬間に腕から鎖の音が聞こえた。すぐさま腕に目をやれば、空ろう事か両手首には赤錆色をした枷と鎖がついていてまた私は鎖に繋がれていた。


「此処はどこ?私は朱蓮を殺してそれから自分も「殺して死んだんだ。そしてこの地獄にやってきた」後ろから私が聞き間違える事のないもう二度と聞きたくなかった声が聞こえる。
恐る恐る振り返えればそこに居たのは紛れもない狂気に狂った笑みを浮かべた私が殺した朱蓮だった。


「死んだからって私から逃げられるとでも思ったのか?」


そう言ってから私の鎖を掴んで、いきなり吼えながら現れた骨の化け物の口に私を放り投げ入れた。あなたは何処まで私を縛り続けるの?





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