昨日、出会った武装戦線の面白いあの人は、雨が止む気配を全く感じないと悟り「雨止まねえし、そろそろ帰るとしようぜ。シャーク」と子猫基シャークにまた一方的に話し掛けてから抱っこしてザーザーと降る雨の中に走って消えて行った。
そして見事、恋に落ちてしまった私は暫くそこを動けなかった。まだ萎えない笑いの所為もあったけど、何よりあの人がまた戻って来るんじゃないかってちょっと思ってたから。今までの私にしては珍しく女々しい事思ってたんじゃないかなー。と、何の為に受けているかも分からない英語の授業をぼんやりと聞きながら思う。「で、あるからしてこの動詞は」とか「あーこら、そこ!真面目に聞きなさい」とか言ってる先生の顔は明らかに真面目な顔ではない。あれは、めんどくさいと感じてる顔だ。
何が勉強よ…。教える先生があれじゃこっちだって教わる気にもならないし、第一英語なんて滅多に使わないんだから教わりたい奴だけが教われば良いじゃない。なんで私まで…と考えてると何だか無性にイライラしてくるのに、ふとあの人の事を思い出したら頬が弛んだ。あの人を思い出すと、昨日の事全部思い出して笑い出しそうになる。


「ふふっ」


イライラしてた筈の私はあの人を思い出したお陰ですっかり気分が良くなった。
なんとなく窓の方を見ると、空は昨日が雨だっとは思えないほど青く、黒く淀んでいた雲は真っ白だ。窓から、心地好い温度の風が入ってきて私や前の子の髪を靡かせる。あー…また、会いたいなー。でも、仮にあの人に会って話し掛けてもお前誰だよって話になるわよね。なんでも良いけど、顔だけでも見たいなーなんて。


「だからよ…」


隣からぼそぼそと話す声が聞こえる。話している人物は、私の隣の席のこのクラスで下っぱ中の下っぱの男子と、そいつの後ろの席のこれまたこのクラスで下っぱ中の下っぱの男子だ。ぼそぼそと先生にバレない様にと周りに聞かれない様に小さな声で話しているのだけれど、隣の私には内容が見事に丸聞こえ。


「でよー武装の奴らが」
「えっ?!」


おいおい私。武装と言う言葉に過剰反応し過ぎだよ。みんなが驚いて、こっちを向いているじゃないか。…ヤバイ…恥ずかしい。


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