(※幼なじみ設定)


昨日、幼なじみである次郎から衝撃的なメールが送られてきた。
内容は、次郎がずっと好きだった子に、明日告白するというもの。そして今日。表面上ではクールにしてるけど、本当はうざいくらいに馬鹿丸出しなのに、告白する直前になって妙にしおらしくなってる次郎が私の隣に居る。


「あのさ、フラれたら慰めろよ…」
「…うん」
「俺マジでへこむからさ…」
「…うん」
「もし成功したら、さ」
「…うん」
「もう、…一緒にあんま居れねえな」
「な、んで?」


さっきまでしおらしかった癖に、急に真っ直ぐした目でこちらを見据えて真面目な顔をして「彼女を大事にしたいから」と普段の次郎からは考えられない言葉が私を攻撃した。
余りにもその言葉は、残酷で涙が出てきそうな位の痛みが心臓に走る。心臓の痛みを止めるのに私は自ら唇を噛み締める。そこから血が滲んできて、心臓の痛みなのか唇の痛みなのか最早解らなくなった。
嫌よ…。次郎がどれだけあの子の事を好きなのかは、しつこく聞かされてたから知ってる。けど、それでも私に振り向いてくれるんじゃないかって思ってた。だって、どの少女漫画でも幼なじみ同士は必ず結ばれてたから。でも漫画の中の物語は所詮、フィクションであって実際は幼なじみ同士が結ばれる事なんて実際ないんだね。
「そっか…寂しく、なるね…」「…ああ…じゃ、俺行くわ」涙が出てきそうになって慌てて下を向いた私にそう告げて私の頭をくしゃ、と撫でて次郎は多分、あの子に告白しに行った。
パタン。扉が閉まって誰も居ない教室に私は1人取り残された。


「嫌だよ…次郎」


1人、私だけが残ったこの空間に放った言葉は静けさに呑まれたのに私の泣き声は呑まれずに、響きだした。


ねえ次郎、私ね次郎に言えなかったけど、あの子実は次郎の事好きなんだよ。良かったね。これで明日からは次郎が大好きなあの子と両思いだね。
でもね、次郎。
本当は私も次郎の事が好きなんだよ?


「…よ、幼稚園の頃から、…ずっと…うっ……だ、大好きなんだよお」


ねえ、気付いてた?


つづきもオチも無い
20101119


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