空が茜色に染まる夕方、イナズマジャパンはまだ練習をしている。
昼間は暖かかったのに夕方には急激に寒くなるお陰で私は風邪っぴきだ。それなのに、もう秋だとでも知らせる様にひゅーと冷たい風が容赦無く私の頬を撫でている。くそう…寒いよ風の馬鹿たれめ。


「名前ーちょっと来てくれー!」
「はーい!」


円堂くんに呼ばれ、どうしたんだろう?と頭の片隅で思いながら急いで向かう…筈だったのだが、ベンチの前を通る瞬間に私の身体は自由を奪われた。


「え、あれ?」


私の腕は久遠監督に捕まれ、監督の横に隣に座らされ、挙げ句の果てに身体を後ろに倒された。つまり、今の私の状態は久遠監督に膝枕されている事になる。
え、いや、あの…。動揺している私を余所に、久遠監督は「冬花頼む」と冬花ちゃんに私の代わりに円堂くんの所に行くのを任せていた。


「名字」
「っは、はい!」
「働くのは風邪を治してからにしろ」
「…気付いてたんですか?」
「当たり前だ。マネージャーなんだから体調管理くらいちゃんとしたらどうだ」
「す、すみません」


膝枕されながら怒られる端から見たら変な光景だと思う。なんだか、恥ずかしい様な嬉しい様な切ない様な…微妙な気持ちが私の中で渦巻く。でも、きっと私の顔真っ赤なんだろうなあ。


「休んでも怒らないのだから、風邪ひいた時くらい休め」
「…はい」


さっきまで円堂くん達を見ていた監督が、いきなり私を見て「あまり心配を掛けるな」と呆れながらも微笑んで言った。私はこの時ほど、顔に熱が集まった日は無いと思う。


その後、その光景を見ていた不動くんに散々からかわれました。


今日はいいおっさんの日!
20101103


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