「…うっ、…ぐすっ」


僕の大好きな名前は泣いている。理由は分からないし、聞こうとしても僕には声が無いから聞けない。
慰めようと僕の得意なジャグリングとか、色んな芸をやるけど名前は顔すら上げてくれない。もしかして僕、何か…したのかな?自分に何か間違いは無かったかと、考えるけど何も思い浮かばない。


「……」


もうどうしたら良いか分からない。変顔したって名前は笑ってくれなかった。


―泣かないで―


声に出そうとしてみたけど、やっぱり声は出なくて開いた口は口パクになってしまう。
僕に声があったら…。ふと、そんな考えが脳裏に過る。僕に声があったら名前を慰められたのかな?……何で僕には声がないんだろう…。
声さえあれば名前を不安にさせる事も無いのに。
声さえあれば名前をこんな風に泣かさずにすんだのに。


―ドウシテボクニハコエガナイノ?―


ねえ…神様。これは何の嫌がらせですか?僕は何も悪い事してないのに…。そんなに神様は僕が嫌いですか?


俯いたら、僕まで涙が出てきた。


僕に声をくれなかった神様なんか大っ嫌いだ。


題:確かに恋だった
20101019


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テーマ「人外ファンタジー」
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