(※兄妹設定、微裏)


私の兄は、私達の姉が好きだ。
それに気付いたのは、去年。

元々、私は恋愛感情として兄が好きで怖い夢を見た時や眠れない時はいつも嫌々な兄に無理矢理言って兄のベッドで添い寝をして貰っていた。
その日も、なかなか寝付けなかった私は兄の部屋に向かっていた。確か、ちょうど夜中の1時過ぎでもちろん家族はみんな寝静まっていてほんの小さな物音でさえも聞こえるくらい。
その寝静まり過ぎた家の所為で、知らなくても良かった事を私は知るハメになった。


兄の部屋に近付く度に聞こえてくるベッドの軋む音。どうせ、寝返りでも打っているのだろうと思っていたのに、現実は私を裏切った。
兄の部屋のドアが少し開いていて、そこを覗いたら信じられない光景が目に飛び込んできた。


「…んっ……はあ、はあ」


微かに荒々しく声を上げる兄。豆電球で見える兄は下半身に手を伸ばしていて、あろうことか自慰をしている。


「あっ……ん……」


私は動けなかった。目を反らしたいのに反らせない。早く自分の部屋に「…くっ、あね、きっ」その瞬間、白い液体が兄の手にどっぷりと付いた。


「お、にいちゃん…」


その光景を見た私の目からは一瞬で涙が出てきて、声を発したと同時にドアを軽く押して開けてしまった。


「名前っ?!」
「ど、して…」


恋愛感情として好きな兄が、私達の姉を思い自慰をしていて、私は心臓に近い部分がまるで金槌で殴られた様に痛かった。
ただ、茫然と泣く私の腕を兄は引っ張り部屋に入れて、兄の手によって私の手首は壁に縫い付けられた。


「おにいちゃんっ、い…痛い、よ」
「声を出すな」
「んっ?!」


兄に無理矢理口をこじ開けられて兄の舌が侵入して私の口内を荒らす。何が起こったのか分からなった私は抵抗もせず、されるがまま。ふと、頭をよぎったのは「気持ち悪い」という感覚だけだった。


「…っ、はあ、…はぁ」
「誰にも言うんじゃねえぞ」
「…」
「絶対言うなよ」
「………うん」


私は、まだ止まらない涙を「止まれ」と願いながら兄の言い付けを約束をした。手首を解放され、兄は先ほどまで私の手首を拘束していた手で止まらない涙を拭ってくれたけど、その優しさが心臓に近い部分に染みて余計に涙が止まらない。



部屋に戻り布団の中で必死に目を瞑って、今日の事を忘れようと、忘れてしまいたいと思った。


20101012


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