世の男子や女子は何故あんなに自然に尚且つ簡単に異性のメアドを聞く事が出来るのだろうか…。
俺はそれが不思議で堪らない。だって、異性相手だぞ?恥ずかしくて緊張して上手く聞けないじゃないか。
どんなに何度も脳内で名字に聞きに行くシュミレーションをしても、実際は全然シュミレーション通りにいかなくて結局聞けず仕舞い。
意外と俺も草食系男子なのかも知れないな…。


「何悩んでんの?」
「っ名字?!」
「あはは、声裏返ってるよー」


どんだけ考え事してたんだよ…俺。目の前に名字が居る事にも気付かなかったなんて。当の本人はふにゃりと笑っているし。


「あ、そうだ!風丸くん」
「なんだ?」
「メアド教えて!」
「え…」


きっと俺は今なんとも情けない顔をしているだろう。ちょうどメアドをどうしようもなく聞きたかった人から、俺のメアドを聞かれるとは思ってなかったから吃驚の余り口が開きっぱだ。


「風丸くん…?」
「あ、ああ。俺ので良かったら」


慌てて携帯を開いて赤外線ボタンを押す。「風丸くんのメアドじゃなきゃ嫌だよ」と、くすくすと笑いながら携帯を近付けてくる名字に一瞬見惚れた。


チャイムとは空気が読めなく、虚しく休み時間の終わりを告げた。
先生が来て、つまらない授業が始まったが暫くしてから名字からメールが来て、つまらない授業が楽しく感じられた。


題:瞑目
20101012


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