「もう嫌なの!私ばっか修也の事好きでっ、…うっ…好、きでっ……なのに修也は私のよりサッカーの方が好きなんでしょう?!」 「それは、」 「……わ…別れ、よう…」 そう彼女に言われてから1週間が過ぎた。 俺は別れる事を承諾しなかったけど、名前は別れたつもりでいるんだろう…。 名前は「私よりサッカーの方が好きなんでしょう?!」と言ったが…それは違う。俺はいつだって名前が一番で、大好きだ。俺なりに「好きだ」と態度で伝えていたのに、それはちゃんと名前に伝わっていなかったんだな。 「名前…」 1週間経ったって、名前への気持ちは無くなりやしない。今だって、名前の温度を覚えてる。手を繋いだ時の温かさ、抱き締めた時の温かさ、キスした時の温かさ、全部今だって…。 「名前…!」 唇をなぞれば、涙が出てきた。涙で薄れる視界に記憶の中の名前が見える。名前の笑顔が大好きなのに…。もう見ることは出来ないのだろうか…。もう名前の瞳に俺が写る事は無いのだろうか…。 俺から去っていた名前を思いながら壁に凭れかかって女々しく泣く俺を名前はどう思うのだろう? 「……っ…愛して、る」 ちゃんと「好きだ」と言葉で伝えれば良かった。 ごめん、ただ…照れ臭かったんだ…。本当は大好きなのに。 「ごめっ…」 まだ、俺は名前を忘れるなんて出来やしない。 20101004 |