「あっついなぁ…」 季節は、蝉がミーンミーンと鳴きだした初夏。 まだ、初夏だと言うのにもはや真夏日の様に暑い。何もしてないのに汗はじわじわと出てくる。仕舞には、一粒となった汗が背中を伝っていった。 くそ、気持ち悪い…。帰ったら即シャワーを浴びよう。 「おい、名字」 「…なに」 只でさえ暑くてイライラしてるのに、側に居るだけでイライラする不動明王がやってきた。 「今日の練習、全部のメニューに俺だけ2セットずつ追加しとけ」 「は、2セット?」 「ああ」 「あんた馬鹿でしょ。絶対、馬鹿だ」 「馬鹿馬鹿うるっせえよ!」 「だってこんな暑い時に全部に2セットも追加したらぶっ倒れるに決まってるじゃない!」 「ハッ!お前の方が馬鹿じゃねえか。俺様はそんな事ぐれえでなあ、ぶっ倒れる訳ないんだよ」 私を嘲笑う顔で、「わかったか、お馬鹿さん?」と言うこいつに尋常じゃない怒りを覚えた。 「じゃあ、10セットずつ追加してやるから途中で耐えきれなくなってヒーヒー言いながらぶっ倒れろ」 不動に背を向けて歩きだす。 背後から「っの野郎!」という不動の声が聞こえたと思ったら胸を覆っていた下着が緩くなった。 「お前さあ、汗でブラ透けてんだよ」 急いで振り返れば、したり顔の不動が居た。 こいつは、先ほどの一瞬であろうことかブラのホックを外しやがった。 「白にピンクよりも俺は紫か黒の方が好きだぜ?」 「ニギャアアアアアアア!!」 季節は、蝉がミーンミーンと鳴きだした初夏。 まだまだ暑くなる気温と、うざったい不動に私はイライラし過ぎて倒れてしまいそうな予感がする。 ―――― 今さら、夏ネタ。 不動くんなら一瞬でホックを外せる筈。きっと達人級レベル。 20101004 |