今月もやってきた。女子特有の月一のアレが。…最悪だ。何故か今日に限ってお腹と腰の痛みが尋常じゃない。こんなんじゃ動く事すらままならない。
ああ早く薬を飲もう。と思い鞄からポーチを出してそれを漁ってる内に私の顔が青ざめていく。不幸というのは重なるもので、生理痛が酷い私はいつも薬を飲んでいるのだけれど…それがまさかの薬切れ。「はあ…」動くことすら出来ないんじゃマネージャーの意味がない。今日は仕方ないから痛みを堪えて動こう。そう決心して、とりあえずお腹辺りの部分にカイロを貼る。
これで少しは痛みが良くなれば良いんだけど…。



ダメだ…。朝から今までなんとか痛みを堪えてたけど、昼過ぎの今になって痛みが増して来た。
なによこれ。なんの嫌がらせだ。
余りの痛さで全身に冷や汗が滲む。


「名前ちゃん?さっきより顔色悪いけど大丈夫…?」
「あ、うん。大丈夫」


椅子に座って痛みを堪えてると心配そうに私の顔を覗く秋ちゃん。朝に秋ちゃんに痛み止めを持っていないか聞いたけど残念ながら持っていなかった。


「名字」


名前を呼ばれ顔をあげると監督が目の前に居た。「なんですか」と消え入りそうな声で言った瞬間体が宙に浮く。
「あっあの監督!降ろしてっ」私の願いは虚しく、綺麗に無視され、監督にお姫様抱っこのまま連れて行かれた。



私の部屋に行き、ベッドに寝かされる。すると監督はいきなり上着を脱いでベッドに入ってくる。
い、いやいやまだ心の準備が…。


「か、監督?」
「生理痛が酷いなら初めから言え」
「な、んで知ってるんですか」
「木野から聞いた」


そう言いながら私のお腹を優しく撫でてくれる。その手付きが心地好くて痛みが緩和された気がした。


「今、冬花が薬を買いに行ってる。それまでの辛抱だ」
「すみません…」
「全くだ」


ああ、優しい親子だ。冬花ちゃんに後でお礼を言わなきゃ。
速く動く鼓動の所為で火照る顔を久遠監督に見られない様にしながら、監督にこうしてもらえてるのだから少しだけ生理痛にも感謝した。


20100920


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