俺は馴れ合うのは好きじゃねえ。馴れ合ってる暇があるなら俺はサッカーをする。
だからサッカー部以外のクラスの奴、いや学校の奴と大した話をした事がないし、俺を恐れて誰も話し掛けて来ない。それが俺のベストスタイルだ。
なのに、そんな奴らの中に1人だけ俺に毎日話し掛けてくる奴が居る。


「ふーどーうー」
「…」
「おい無視すんなよ、馬鹿たれ」
「……毎日毎日五月蠅え奴だな」


こいつは自分に友達が居ない訳でもないのに休み時間には必ず俺の所に来る。何度無視しても追い返してもケロッとしてまた付きまとってくる。お陰で、最近の俺のベストスタイルは崩されっぱなしだ。


「あのね、」
「…」
「今日は不動の為にお弁当作ってきたんだー」
「…」
「食べなきゃ殺すからね」
「ハッ!…やれるもんならやってみろよ」
「やんないよー」
「はあ?」
「不動が居なくなったら寂しいじゃんか。さっきのは脅し文句だよ脅し文句」


そう言ってニッと笑う。馬鹿じゃねえの、こいつ?意味もなく俺に付きまとって、仕舞いには弁当まで作って…こいつの頭が分かんねえ。


「だからお昼一緒に食べよーねー」


好きでもねえ癖に、よく他人の男に言えるな。…いや俺が好きだから言えんのか。


「お前、俺の事好きだろ?」
「あー…うん。好きだよ?」
「え、…は?」
「だからー、好きだよ?まさか本人にバレてるなんて思わなかったわー」
「…まじかよ」
「不動は私の事好き?」


そう微笑みながら言う名字に、さっき突然告白された所為か心臓がとんでもない速さで動いている。答えを待ってこちらをずっと見ている名字に耐えられなくなり「すっ好きなんかじゃねえよ!」と言ってその場から逃げた。
誰があんな奴…!そう思えば思う程あいつの顔が頭から離れなくて。日に日にあいつの事を目で追う様になってしまった。


20100907


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