今、僕と名前は母さんに「暑いからアイス買ってきなさい」って言われて、僕はいらなかったのに名前が欲しいって喚くからこの暑い中コンビニに向かって歩いてる。上空から太陽に照らされ、アスファルトの照り返しで暑さに挟まれてる。 「佳主馬…足が痛い」 「良かったね」 「馬鹿野郎ー」 僕の数歩後ろ歩いてる名前の足元をちらりと盗み見する。そんなヒールの高いやつを履いてるから足が痛くなるんだ…馬鹿め。 「佳主馬…暑いよー」 「あっそう」 「阿呆ー」 五月蠅いから無視したら、今度は「ちび佳主馬」と言われた。暑さに挟まれてイライラしてるのに名前の所為でさらにイライラする。 「…僕にどうしれって言うのさ」 「おんぶして」 「やだ」 「即答禁止ー」 「なんで暑いのに名前をおんぶしなきゃなんないの?」 「しなきゃならないから」 「名前って理不尽の塊だよね」 「ノンノン、私は優しさの塊だよ」 「うそつけ」 そうは言いながらも結局立ち止まって屈み、おんぶの体勢をとる。なんの迷いもなく僕におんぶされる名前。…優しさの塊は僕じゃん。ため息を吐いてから、汗で張り付く髪が心底鬱陶しいと思った。 「ねえ…重い、降りて」 「根性無しー」 耳元で悪態を吐かれてムカついて本当に降ろしてやろうと思ったのに、僕の首に回してる腕の力を「ぎゅー」なんて言いながら強めるから、なんだかそれが愛しくて降ろしたくなくなってしまった。 「佳主馬の背中暑いけど気持ち良い」 「今度は##NAME1#が僕をおんぶしてよね」 「そんな無茶な!」 題:確かに恋だった 20100903 |