僕の目の前の席に座ってる女の子の髪型はとてもさらさらしている。窓から入ってくる優しい風になびく髪が自然と僕の手を誘う。 「ねえねえ佳主馬くん!」 いきなり僕の方を振り返り、男よりも大きい目で僕を真っ直ぐに見つめる。その行為に吃驚しながら、僕が髪を触ろうとしたのがバレたのか…?と情けないけど内心びくびくしている。 「…何?」 「あ、なんでそんな厭そうな顔すんのよー!」 「してない」 「もー!嘘つきめ!」 「なに、牛のモノマネ?」 「違うよ!」 頬を膨らまして多分怒ってる名字が少し可愛いと思ってしまう。「じゃあ何?」と下心にもみた感情を隠す為に敢えて、いつも以上に冷静に振る舞う。 「好きな人居る?」 予想外な質問に呆気を取られて、思わず口が開いてしまった。これが開いた口が塞がらないと言うやつか。 「…居るよ」 「マジで?」 「うん」 「えーなんか意外!佳主馬くんって恋愛とか全く興味無さそうなのに!」 「なにそれ」 「興味謎無さそうってか恋なんて出来なさそうだよね!」 「はあ…。僕をなんだと思ってる訳?」 「へたれ」 即答で言われてイラっときたらから「もう名字と口きかない」と悪態を吐いてやった。 まあ、僕が好きなのは名字なんだけどね。 題:確かに恋だった 20100831 |