「侘助、付き合って!」
「無理」
「なんで?」
「子供のお遊びは余所でやりな」
「子供じゃないし遊びでもないよ!」
「はいはい」


侘助はいっつもこうだ。私が本気の告白をしてるのに軽く交わして私を子供扱いする。今だって、子供扱いして私の髪をくしゃくしゃに撫でるの。


「本気で私は侘助の事が、」
「しーっ」
「?」


人差し指を立てて私の唇に当ててくる。「それ以上は言っちゃ駄目だ」と言われ「どうして?」と問えば「どうしてもだ」という曖昧な答えが返ってくる。


「でも私ほんとに本気なの!だから今までだって一度もおじさんって言ったことなかったじゃない!」
「あー…そういやそうだな」
「ね、分かったでしょ?」
「分かんねーよ」
「ちょ、痛っ」
「ふっ、早く寝ろよ」
「待ってよ!」
「はあー……名前」
「……ほんとに本気だもん」


何度も何度もこう好きな人に子供扱いされたらさすがの私も傷付く訳で…。目に涙がちょっとだけ溜まってくる。それに侘助が気付いたのか優しく私の頬を触って「本気なら俺にキス出来るか?」と試すように言ってくる。一瞬で私の涙は引き、直ぐに犯行してやる。


「出来るよ!」
「お子さまには無理だな」
「お子さま、お子さまって言うけど私だって高校生なのよ!馬鹿にすんな!」
「へえー」
「キスの一つや二つ出来ない訳がないの!」
「じゃあ早くしてみろよ」
「わ、分かってるわよ」


背伸びをして、本当はまだ一度もした事のないキスを侘助に迫る。


「遅い」
「えっ」
「キスってのはこうやんだよ」
「ちょ、…んっ」
「…お分かり?キスも出来ないお子さま」
「み、見返してやる…」
「何時になるやらなあ」


実は俺だって名前が好きなんだぜ?


20100825


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