「ねーねー立向居」


名前を呼ばれて振り返れば笑顔の名前さんが居た。


「何ですか名前さん」
「どうして立向居は前髪パッツンなの?」


目を輝かせながらそんな事を言われる。や、やっぱり男がパッツンなのは変なのだろうか?


「えっ?へ、変ですかっ?!」
「ううん、とっても可愛いよ。」「かっかわ?!」


今までも、女の子に可愛いとは言われた事はあったけど、さすがに好きな人に言われたら俺も男だから軽く傷付く訳でして…。名前さんの方が可愛いのに。「ねーねーなんでー?」「そっそれはその」「うんっ」目を輝かせ可愛い顔してこちらを見つめられたら断れないよ。


「…お恥ずかしい話なのですが、母に前髪を切ってもらったらこの前髪になってしまったと言うか、その……」
「お、」
「?」
「お、おお母様グッジョブ!」
「っええー?」


親指を立てて、ウィンクしながら俺を見る。どこがグッジョブなんですか。「もしかして嫌がったらパッツンになっちゃったとかっ?」ニヤニヤしながら、見事に言い当てられる。何でバレたんだ?


「あ、あのそのー……はい」
「そっかぁーっ」
「名前さん誰にも言わないでくださいねっ」
「えーどうしよっかなぁー」
「名前さんっ」
「ふふっ嘘。誰にも言わないよ」

「あ、ありがとうございます!」


はぁ…良かった。安堵の溜め息を吐いた瞬間に名前さんが寄ってきて「2人だけの秘密だね」と耳打ちされた。みるみる自分の顔が赤くなっていくのが分かるほどに顔に熱が集まる。ああ心臓が煩い。何か言わなきゃならないのに、心臓の動きが速すぎて上手く言葉が発せられない。


「あれ?立向居…?」


名前さんが心配そうな顔で俺を見つめきたと思いきや、なにも返事しない俺をさらに心配になったのかおもいっきり顔を近付けてきた。
バタンっ。そこで俺は意識を手放した。目を覚ましたのは、その日の夜で隣には名前さんが一緒に寝ていた。また心臓が煩くなって顔が熱くなる。この人は俺を心臓発作で殺す気なんでしょうか?


こんな前髪秘話キボンヌ!
20100714


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -