「なあに源田」 さっきからずっと私のふくらはぎを撫で回してる張本人は「ふふ」と軽く笑ってる。 「いや触りたくなって」 「変態」 「五月蝿い」 「私、自分の足嫌いなんだけど」 「なんでだ?」 「だって太いし、毛だって剃らないと濃いし」 「いいんじゃないか、別に」 「私は良くない」 「俺は気にしないけどな」 「じゃあ彼女が足ぶっとくて、毛がめちゃくちゃ濃くても源田は良いの?」 「さすがにそれは嫌だ」 「ほれみろ」 「だけど、」 「?」 「そうやって名前が俺の為に努力してくれるのは嬉しい。愛されてるって分かるからな」 この人はいつも恥ずかしい事をさらっと言ってしまう。しかも無自覚だから困る。…いや自覚はあるのかな。そこは分かんないや。 「名前は俺が足が太くて毛が濃かったら嫌か?」 「嫌よ。でも嫌いにはならない」 源田は「そうか」と嬉しそうに笑ってから私を抱きしめて来た。 「じゃあさ、私がめっちゃ太ってたらどうする?」 「痩せさせる」 「どうやって?」 「筋トレ」 「えー、やだよ。源田に筋トレで鍛えられたら間違いなく私マッチョになっちゃうもん」 「良いんじゃないか、マッチョ」 「…笑いを堪えながら言われても私は信用出来ません」 「ふふっ…俺はどんな名前でも好きだ」 20100818 |