「ねえ、不動くん花火しよ!」
「嫌だ」
「なんでー花火しようよー。ほら私買ってきたんだよ!」
「へーそりゃ良かったな」
「ちょっとー」
「お子さまは1人でやってろ」
「不動くんとが良いの!」
「知らねーよ」


「なによ馬鹿ー」俺の肩を叩きながら文句を言ってる。「馬鹿はてめえだろ」と言えば強いというか優しい曖昧な力で叩かれた。


「大体、なんでこんな夜になってからやらなきゃなんねえんだよ」
「花火は夜でしょ」
「あっそ」
「ねーねーやろうよってー。おーねーがーいー」
「うるせえ」
「お願いします不動くん!」
「はあ……ちっ、しゃーねえな」
「やった!」


観念して外に出れば夜だから少し涼しくなっているとはいえ、まだ暑くて生温い風が頬を撫でた。この馬鹿は花火を2本持ちながら振り回して遊んでる。本当にお子さまだな。俺はというと、地味に一番楽な線香花火をしてる。すると、この馬鹿は夜にも関わらず大声を張り上げて「あんね不動くん!」と俺を呼んだ。


「あ?」
「私は不動くんが好きです!」


その瞬間にせっかくでかくなっていた線香花火の火種が落ちた。


題:確かに恋だった
20100814


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