「ねえ」
「あ?」
「触れたい」
「…何にだよ?」
「不動に」
「…別に触れば良いじゃねえか」
「触れれない」
「何でだよ」
「だって…壊れちゃうもの」
「俺が?」
「うん…」
「なに、中二病発言してんだよ」
「不動には言われたくない」
「っるせーよ。大体、壊れる訳ねーだろ。俺は人間だぜ?」
「…だけど駄目なの。私が触れたらみんな壊れて私の傍から居なくなってしまうもの」
「そりゃ大変だな」
「本当はそんな事思ってないでしょ?」
「まあな」
「もう」


本当にこいつは。私が真面目に言ってるのに。…呆れたわ。溜め息を一つ溢した所でぐいっと腕を引っ張られ、そのまま引っ張られた腕は不動の胸元まで持っていかれる。


「な、に、」
「ほら壊れねーぞ」
「…」
「この俺様がそう簡単に壊れてたまるか」


ハッと言い捨てて、真っ直ぐにこちらを見据える。そして少し間を置いてから一言。


「俺はどこにも消えたりしねえよ。安心しろ…ずっと側にいてやるから」


そう言った後に恥ずかしくなったのかそっぽを向かれてしまった。
私…さっきの冗談で言ったのにな。完璧に騙されてるよね、あれ。
でも、どうやら私は不動に愛されている事がやり方はどうであれ確認出来たからこの事は黙っている事にしといてあげよう。


20100814


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