「名前ー」


大声を張り上げて子供みたいな無邪気な笑顔でこちらに向かってくる綱海さん。何で海パン姿なの?サッカーしてたんじゃなかった?…あれ?
綱海さんが来る方向を見てたら、走ってきてそのまま真正面から抱き締められた。


「名前!」
「ちょ、綱海さん濡れてる!」
「ああ、わりぃわりぃ」


どうやら綱海さんはサーフィンをしていたらしく濡れていて、濡れている事を伝えると離れる訳じゃなくただ謝られた。


「どうしたんですか?」
「名前不足!」
「…何ですかそれ」


抱き締められてるから綱海さんの顔は見えないけど、ニヒヒと笑ってる声が聞こえるからきっとそんな顔をしてるのだろう。私不足って付き合ってもいないのによく言えますね。言われてるこっちは勘違いしちゃいそうになってるのに。綱海さんの体温が私の肌に直接触れている所から感じられるだけでも私は恥ずかしいのにこの人は…。鈍感なのか天然なのか、はたまた馬鹿なのか分からなくなってきた。


「俺やっぱりサーフィンも好きだわ!」


突然放った言葉の、好きという単語にどきっとしてしまい少し肩が揺れた。


「あ、でもよ、俺、お前のことも好きだぜ!」


それからぎゅーと腕の力を強められる。ほんとにこの人は鈍感なのか天然なのか、実は確信犯なのか…全然分かりません。


20100812


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