「今日も平和だなあ」


こないだまで自称宇宙人とかいう中二病丸出しのエイリア学園と戦っていたなんて嘘みたいに穏やかで平和な日々が続いてる。願わくばこの日々がこれから先何事もなく続いていきますように。


「名前どうかしたのか?」
「んーん。何でもないよ」
「そうか」


お昼真っ只中に屋上でお弁当を食べる私と豪炎寺くん。いや正しくは私がうっかりお弁当を忘れてしまったから、豪炎寺くんのお弁当を食べさせてもらってる。


「豪炎寺くん卵焼きちょーだい」
「…俺にじゃんけんで勝ったらな」
「な!」
「ほらじゃんけん、」
「うわわわ!待って待って!」


「今やるから、」そう付け足しながら腕を交差して手の中を覗く。じゃんけんをやる前にやるあれ。神頼みだけどやらないよりはマシよ!


「よし!どんと来い!」
「負けたら名前からキスな」
「え、はっ?」
「じゃんけんぽんっ」


豪炎寺くんはチョキで私はパー。呆気なく負けてしまった。


「名前の負けだな」
「え、いやいや!さっきのは豪炎寺くんが変な事言うから吃驚してっ」
「でも負けたのは名前だろ?」
「うっ、」


ほら、と言わんばかりにもう目を瞑ってる豪炎寺くん。ど、どどどどうしよう!ドクンドクンと脈を打ち、心臓の鼓動が早くなる。とりあえず深呼吸してもう一度豪炎寺くんの横顔を見れば、まだ目瞑っている。あ、豪炎寺くんって意外と睫毛長いんだな。そう思ってたら「名前?」と呼ばれた。ああもうどうにでもなれ!私も目を瞑って豪炎寺くん横顔にキスを落とす。


「普通は口だと思うが?」
「いいの!」


文句は言いながらも口元が弛んでる豪炎寺くんを私はバッチリ見たわよ。はい、そう言って卵焼きを箸で食べさせてくれた。


「ありがと」
「どういたしまして」
「ねえ、さっき口じゃなくても嬉しかったでしょ?」
「そうだな。名前からしてもらえるならどこだって嬉しい」


なんて口説き文句を微笑みながら言われてしまったらこちらも頬が弛んでしまう。なんだか、この先私がこの人に勝てる日が来るのか心配になってきてしまった。


「唐揚げ下さい」
「またじゃんけんな」
「そんなのズルい!」
「じゃあ唐揚げは無しだぞ?良いのか?」
「……」


か、勝てる気がしないんだけど…。


20100812


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