(※長い)


本日は真夏日で、太陽がギンギンにこちらを照らしてくる。
何故、こんな炎天下の中サッカーの練習があるのか私は不思議で堪らない。もしかしたら監督はこの暑さの所為で頭がおかしくなったのかも知れない。
私がマネージャーでサッカーをしていなくともどんどん汗が頭から髪に伝って流れ落ちていくのだから、選手達はきっとその倍だろう。大丈夫かな?みんなの顔を見れば、やはり私の倍の汗を流していた。ユニフォームなんてまるでさっきまで雨に濡れてましたってくらいべちゃべちゃになっている。みんな熱中症にならないと良いんだけど…。この暑さなら熱中症になってもおかしくないのに、誰も倒れてないのが奇跡と言えようか。


「あちぃー!」


あーあ…とうとうディランがユニフォーム脱いじゃったよ。今日、みんなのユニフォーム洗濯するの嫌だなあ。汗でベタベタな上、きっと臭いもの。あのマークのでさえも臭かったらどうしよう。まぁ、それはそれでウケるかな。
そう考えながら空を見上げ太陽を睨み付けければ、監督が笛を吹く。ピーッと笛の音がこだましてみんなが水分補給の為急いでこちらに向かってくる。「お疲れさま」そう1人1人に声を掛けながらタオルを渡していく。


「名前ありがとう」
「どういたしまして」


ふわりと笑うマークを見てああ何ともなさそうで良かった。と思ったけど実際はフラフラで大丈夫なんてお世辞にも言えない程だった。さすがに今日はもう止めた方が良いとマークに伝えたけど、まだ止める訳にはいかないと言われてしまう始末。ほんと男の子って頑固で困るな…。


「名前!」
「ディラン?どうしたの?具合悪い?」
「違うよ!マークと何話してたの?」
「?大丈夫かどうか聞いただけだよ?」
「そっか!」


最初さすがのディランも体調が悪くなったのかと思って、心配したけどいつも通りの笑顔を見せてくれたからどうやら大丈夫らしい。


「ミーより名前は大丈夫?」
「私は大丈夫。みんなより動いてないから」
「でもいっぱい汗掻いてるから休まなきゃ!」
「えっちょ、ディラン?!」


いきなり抱えられ吃驚してディランの首にしがみく。あれ、これって俗に言うお姫様抱っこってやつ?そう思ったら恥ずかしくて顔に血液が集中攻撃する。でも幸い暑さの所為で顔が赤かったからこれ以上赤くなる事はなかった。


「ほら名前も水分補給して」
「うん」


木陰に連れて行かれ木の傍に優しく私を下ろしてから、どこに持っていたのか分からないがスポーツドリンクを私に渡してくる。それをディランから受け取り、一口飲めば口の中が一気にクールダウンする。冷たくて気持ち良い。


「ふぅー…暑いね」
「ディランはユニフォーム着てないからさっきよりは涼しいんじゃない?」


笑いながら言い返せば「そうだけど暑いものは暑いの!」って返される。ちらっと横目で見れば、上半身裸のディランがアイガードを外していた。


「アイガード外すなんて珍しいね」
「うん、暑くてー」


そうだよね。いつもテンションが高いディランも今日の暑さには幾分かはテンションが低くなってる。じーっとディランを見てたら、ふと気付いた。意外と腹筋割れてるんだなあ。腕の筋肉も結構付いてるし。ディランって子供っぽいけどやっぱり男の人なんだな。


「なに?そんなにミーの体見て」


ニヤニヤして意地悪そうな顔して笑うディランが今までの倍かっこ良く見えたのは、いつもしてるアイガードを外してるからなんだろうか。それとも暑さの所為なんだろうか。


「あ!ねぇねぇ名前!」
「なに?」
「キスとチューどっちがいい?」
「なっ、それどっちも同じじゃん!」
「良いのー」


どうやら私に選択肢は無いらしい。諦めて「じゃあチューが良い」って言えば嬉しそうに笑うディランがやっぱりかっこ良くて。それを見てから自分から目を閉じた。私が今日こんなに素直なのは、暑さの所為にしておこう。


20100811

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