(※双子設定) 「健也」 「なに」 「麻呂」 「そっくりねーちゃんに返す」 「馬鹿」 「それも返す」 「ちび」 「ねーちゃんよりはでかい」 何なんだよ、さっきから。風呂上がりに、居間のソファーでアイスを食べてたらヘッドホンを取り上げられたから「何すんだよ」と問えば冒頭の様に罵られ始めた。 「今日、私告られた」 「エイプリルフールじゃねえぞ」 俺に嘘を吐いてもすぐにバレると分かってる癖に、見え見えな嘘を吐く。ほんと何がしたいだか。「健也の癖に」「はあ?」唐突に何を言うんだよ。あれ?今気付いたけどねーちゃんの顔なんか赤くね?良く見たら、怒ってるのか照れてんのか分からない顔をしてんな。そう思いながら、まじまじとねーちゃんの顔を見てたら目を反らされてちょっとだけ傷付いた。…んだよ。 「かっこ良すぎんのよ」 「誰が」 「…健也が」 一言目で自分でも分かる程に眉間にグッと皺が寄ったのに、二言目で吃驚するくらいの早さで眉間の皺が直り、一気に身体中の熱が顔に集中した。心臓が五月蝿い。血の流れが速くなって目眩がする。こいつはほんと何がしたいんだよ。 「健也がイケメン過ぎて困る」 「そんなのいつもだろ」 「お風呂上がりだから余計にかっこいいの」 「んだそりゃ」と冷静に返すけど内心は嬉しくてたまらない。だってねーちゃんが、俺をかっこいいなんて今まで一度も言った事がなかったから。でも、なら何で始めからかっこいいと言わなかったんだ?わざわざ罵らなくても良かったのに。 「なんで俺、最初馬鹿にされてた訳?」 「…それは、…あれですよ」 「どれですか」 「…ムカつくから」 「?」 「健也がかっこ良すぎるのが…、そのムカついて……馬鹿にしました」 「…つまり、ねーちゃんは俺にベタ惚れなんだ?」 「うっ、五月蝿い!」 やっべぇ。にやけるってマジで。何、可愛い事言ってんだよ馬鹿たれ。つか、ねーちゃんに俺にベタ惚れなんだとか言ったけど絶対、ベタ惚れなのは俺の方じゃん! 「健也の阿呆。好きじゃボケ」 だあ゛ーもう!可愛い過ぎ駄目!もうねーちゃん黙って! 「俺の方がよっぽど好きじゃボケ!」 20100808 |