暇だ…。今日は名前が俺の家に遊びに来てる。いわばお家デートと言うやつだ。だが冒頭で述べたように暇だ。
名前が来てるのに何故暇なのか。それは当人が俺の部屋にある漫画を読み漁っているからだ。普通のカップルならこういう場合イチャイチャする筈なのに。名前は俺のベッドで漫画、俺は床に座ってただ只管麦茶を飲んでいる。部屋の主人は俺だぞ?…はあ、暑い。
残念ながら俺の部屋にはクーラーが付いていない。だから扇風機が置いて在るのだが、名前に取られた。返せ。扇風機に俺だって当たりたい。この夏場に扇風機無しは非常にキツいのに。俺が夏バテで倒れたらどうしてくれるんだか。


「ぶぶっ!あははははははっ!!!何これっ!あはははっ!!!」


俺のギャグ漫画読みながらヒーヒー言って笑ってる。全く可愛げの欠片もないな。仮にも女何だからもう少し可愛げのある笑い方をしたらどうだ。はあ。本日二度目の溜め息をもらす。…彼氏より漫画を優先するなよ。そんな事考え始めたらどんどん嫉妬心と独占欲が俺を駆り立てる。たかが漫画に。


「何?」
「…暇だ」
「そう。…何でも良いけど漫画返してよ。まだ読んでる途中なんだから」


気付いたら体は動いていて、名前から漫画を奪い、覆い被さっていた。名前は自分の邪魔をされて不機嫌になる。長い沈黙が流れてから一言。


「俺より漫画を優先にするな」
「…何、焼きもち?」
「ああ」
「幸次郎も妬いたりするんだ」
「そりゃな」
「ふふ」
「ん?」
「じゃあ、構ってよ。幸次郎。誰かさんに漫画取られちゃったから私、暇なの」


意地悪そうな顔しながら笑って、そう言う君に不覚にもときめいてしまって先程までの嫉妬心は消えた。だけどやはり俺は男だから独占欲は消えないでもっと膨らんでいく。


「じゃ、俺だけしか見るなよ?」
「あははっ!そりゃあ無茶だ」


俺だって嫉妬くらいはするぞ?
物が相手でもな。


20100730


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