君のその私を馬鹿にした態度が腹立たしい。何度甚振っても真っ直ぐに私を見つめる目、何もかもが気に食わない。


「ガゼル様」


私にはない「何か」を持ってる君はまるで見下して嘲笑うように簡単に手を私に差し出してくる。一体何なんだ。その手を取れば答えは出るのか。分からない。何がこんなにも私を駆り立てるのか。自分でもどうかしてるとは思うが、私は間違ってなどいない。


「ガゼル様」


ただ名前を呼ばれてるだけなのに、それさえも憎たらしい。そして私はまた君を傷付ける。何度も何度も。殴っては蹴り飛ばし、また殴っては蹴り飛ばす。君の顔、首、腕、胸、腹、足にどんどん生傷が増える。服には血が滲んでまるで赤い薔薇が咲いてる様にも思わせる。
理不尽な理由でこんなに痛め付けられてるのに名前は怒りもしない。ましてや泣きもしない。ただただ、私の名前を呼んで微笑むだけ。


「一体何なんだ!」


今まで出した事のない怒鳴り声を上げる。すると君は少し驚いた顔したけど直ぐにまた微笑む。止めろ。止めてくれ。そんな顔するな。どうしたら良いか分からなくなる。分からない。この感情は君のその躯を切り刻めば分かるのか?それとも君をぐちゃぐちゃにしてしまえば分かるのか?


「私はガゼル様が好きですよ?」


そう言ってまた微笑む。好き?なんだそれは。分からない。考え過ぎて頭がおかしくなりそうだ。いつまでも微笑んでる君は私には嘲笑ってる様にしか見えない。
憎い憎い憎い憎い。君の何もかもが憎い。ああまた私は手を出してしまう。


「はぁ、はぁっ」


そろそろ私も疲れてきた。なのに、この黒い感情は消え去らない。もう君の顔はぐちゃぐちゃになる寸前だ。至るところから血が出て来ては垂れていく。それでもまだ微笑んでる。いい加減にしてくれ。私だってこんな事したくないのに。君がそんな顔をするからいけないんだ。君の存在自体が私をおかしくする。もう駄目だ。名前をこれ以上甚振りたくない。なのに君はまた私の名前を呼んで微笑む。ああ。


「だから狂ってしまう」


20100728


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