「いやだ」
「ごめんね」
「やだよ」
「ごめんね」


さっきからその会話を繰り返しをしてる。視界は涙でぐちゃぐちゃになってピンぼけ状態。
こんな事になったのは一之瀬くんがアメリカに帰るなんて言い出したから。あーあ…大好きな一之瀬くんの顔が余り見えない。でも声色で分かる。きっと今、一之瀬くんは眉を八の字に垂らして困った顔をしてるに違いない。そりゃそうよね。彼女が目の前で泣きながらまるで子供みたいに駄々を捏ねてるんだから。


「ごめんね名前」
「っ、いっ、行かないで、」
「…ごめんね」


嫌だ嫌だ嫌だ。何でアメリカに戻るなんて言うの?ずっと一緒なんて行ったのは一之瀬くんなのに。「約束…守れなくてごめんね」嫌だ嫌だ嫌だ。離れたくない。1人は嫌だ。一之瀬くんと一緒がいい。離れないで。「名前、俺そろそろ行かなきゃ」嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。さっきからその言葉しか出て来ない。ほんとは駄々捏ねないで笑顔で送り出したいのに。頭ではそう思ってるのに、体が心が全てを否定する。


「本当は名前も連れて行きたいんだけど、俺はまだ子供だから連れて行けないんだ」


そう言ってまた「ごめん」と謝られた。違う。そうじゃない。謝って欲しい訳じゃないの。「必ず電話する」


「待、って…」


say goodbye.


20100728


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