ヤンデレ髭切

ヤンデレ故にちょっと暗い話です。文才もないので平気な方はどうぞ














雪の外は寒い。君は何をしているんだろうか…。
ブルッと震えてマフラーを口元に持っていく。

「兄者!お待たせ!」
小走りで君が来た。
今日はお散歩をする日。僕はずっと待ってたんだこの日を。

「おやおや、僕はいつから君の兄者になったんだい?」
クスリと笑みを零して、冷たくなった手で君の頬を撫でる。ああ、暖かい。
「えへへ、膝丸が兄者兄者呼んでるからついつい…」照れたように笑う君。そんな君も愛おしい。

どうして自分のだけの人にならないのだろう。
僕は嫉妬は良くないよっていつも思う。でも…、君には嫉妬をする。
君を壊して壊して壊してしまいたい。めちゃくちゃに壊してしまいたいんだ。
僕以外を目に写したくない。僕以外の人と口を聞いて欲しくない。
そんな僕を知ったら君はどう思う?きっと…避けられるだろうな。

だから、僕は決めたんだ。

今日君を殺すと。
刀として、君を僕のものにすると。

ああ、そうしたらきっと膝丸も粟田口もみんな悲しがるだろうな。

「兄者、どうしたの?ぼーっとして」
「おや?ぼーっとしてたかな?」
「してたよー」とクスクス笑う君は今後のことなんか知らない。

そして君はみんなを愛している。恋愛感情は誰にもないのも知ってる。審神者としての役割を一生懸命果たしてるだけなのもわかってるんだ、僕は。

「君は僕がどんな人間かわかるかい?」
スッと君の身体を僕の正面に向けて首筋に指に這わす。
「天然さん…かな?」
君が天然だよ…って、思わず思ったら笑みが零れた。
「違うよ、僕は君が思うような人間じゃない。」
「え…?」
君は目を見開いて、僕をじっと見る。

「君を壊したい。」
そうハッキリ伝えた。

「君を壊してめちゃくちゃにして殺してしまいたい。愛するが故に。」
そう伝えると彼女は微かに震えだした。

「怖がらないで。僕だけのものにしたいんだ。」すっ…と刀をだして首筋にピタッと当てる。

「や、やめて…」そう言う君はツーっと涙が零れた。
その涙を刀で拭う。すると頬から鮮やかな血が溢れ出した。
刀に付いた血液を僕は舐める。

「この血液さえ愛おしいんだよ、君が。」
カタカタカタカタ…君は震えてる。

僕は刀を彼女に持たせた。自分の方に向けて。

「え?」君は震えながら戸惑った。

こんなに狂った僕がおかしいんだ。壊したくて壊したくて仕方ない僕がおかしいんだ。
大切なら守るべき。なのに守る事はできない、嫉妬故に。

「嫉妬は良くないね、僕みたいに鬼になっちゃうね」

そう言って自分に向けられた刀のまま、君を抱き締めた。
自分を貫くとわかってて。そう、君を殺すはずが、僕は自分を殺すことにしたんだ。
唯一君を守れる、みんなを守れる手段。

ドクドク…と血液が流れると同時に僕は薄くなる。

「ねぇ!!!髭切!!!髭切!嫌だよ!!」
泣きながら必死に僕を掴もうとする。
薄くなった僕は掴めない。

「あい…して……」る

伝えきれないまま消えてしまった。これで良かったんだ。
さよなら、大好きな君。
僕の耳にも君の泣き声が聞こえるよ。
もう泣かないで。僕の大好きな君。


−−−−−−−−−−−−

あれから半年。私は髭切を壊してしまった。
膝丸も落ち込んで、ずっと暗い。

私はある事実に気づいた。
いなくなって気づいたんだ。

「みんな集まってください」
集合をかけた。
全ての刀剣男士たちが集まる。

「いきなりでごめんなさい。髭切がいなくなったのは私のせいです。私が…殺しました。」

ざわつく。当然よね。

「この!!!兄者を殺しおって!!!」膝丸私に抑えかかる。
「やめろ!」一期一振が取り押さえる。

「こんな審神者となんかやってられん!!」
膝丸そう言い放つ、そうその通りだ。

審神者は刀剣男士を愛してはいけない掟がある。もちろん、殺してもいけない。

「本日をもってここの本丸は解散します。新しい後任の方ももう見つけて引き継いでおります。殺してしまった私は当然審神者を続けられません。皆様、今までありがとうございました。」

深く深くお辞儀する。
みんな…ごめんね。

そして荷物をまとめて本丸を後にした。
兄者と散歩した場所につく。
そして、兄者を殺した場所でもあるとこに。

「兄者…聞こえる?」
誰もいないのにひとりで語りかける。
「あの日、あなたを守れなくてごめんね。怖がってごめんね。」
「あなたを壊して失ってから気づいたの。愛していたって。」
「だからみんなに兄者を殺したのは私って伝えて審神者辞めてきたよ。」
着物からスッと小さなナイフを出す。
「兄者…会いたいよ…愛してる」

私は胸にスッとナイフを刺した。心臓に。正確に死ぬように。
体温が冷えてく。身体が朽ちていく。

あなたに会いたい…
会えるかなんかわからないけど、この命、あなたに会うために捧げます。

END

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