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【歌仙兼定】by安久夜


「主、君という人は!何でこうなんだい!?」
「だって〜!!」
僕は遠征から帰って早々わが主を仁王立ちで説教していた。なぜかって?それは…

「いいかい、君は決して馬鹿ではない。日々の戦略や提出書類の出来を見ているからわかっている。料理だってよく厨に立って作ってくれているし、見た目も味もなかなかの腕だ」
「あ、ありがとう…?」
「し か し!だ!!」
「ひぇっ」
「何だいこの部屋の汚さは!?毎日掃除しろとあれほど言っているのに僕がちょっと近侍から外れた数日でどうやったらここまで汚くできるんだ!」

この主がかなりの整頓下手で掃除が苦手すぎるせいで、僕が少し本丸にいなかった期間で部屋が汚くなったからだよ!

「いや、その、ここ数日忙しくて…「言い訳は結構!」 ひゃいっ」
「はぁ…全く、とにかく片付けるよ。主はそっちの要らない紙類を纏めてくれ、僕はこっちをやるからね」
「え、手伝ってくれるの?」

何を今更言っているのやら…この散らかりまくった部屋を1人で掃除させるほど僕も鬼じゃない

「君が1人で掃除したら明日までかかっても終わらなそうだからね」
「うっ、その通りです…ありがとう歌仙」
「ほらいいから手を動かして」
「はぁい…」

シュンとしながら片付け始める主。
こちらも素早く片付けていく。僕は主の初期刀で、近侍も一番長く務めているから何が必要でどこに仕舞えば彼女が仕事をし易いのかくらいはもう覚えている。彼女もそれをわかっているから特に口出しをしたりしない。

暫くはお互い無言で掃除をし、終わりが見えてきた頃
「歌仙…あの」

主がおずおずと話しかけてきた。少し泣きそうに、いつもの事だ。手を止めずに返事をする

「何だい?主」
「あの、ごめんなさい…歌仙疲れてるのにこんな事やらせちゃって」

全く、この主の素直な所は好ましい所ではあるんだが…

「そう思うならもう少し掃除を覚えるんだね」
「はい…」

主が返事をしたのを聞いて、僕も振り返ると彼女の頭を撫でた。彼女もそれを合図にホッとした笑顔を見せた。もう大丈夫、怒ってない。という僕からの印のようなものだ。

苦手な事があるのは仕方がない…が、もう少しマシになってくれない物かな…

僕の願い?決まっているだろう、主がもう少し掃除を覚えて1人で整理整頓、掃除ができるようになりますように、だよ。
…それ以外は非の打ち所がないからね。

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