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【堀川国広】byちゃーこちーこ



パキ…っと嫌な音を立てる。そう、鉄の破片が飛び散り、僕は目を見開いた。
兼さん…!!兼さんが折れた。

かっこよくてつよーい、兼さん。

兼さんに必死に手を伸ばす、消えかかる兼さんは、
「俺は…お前を…まも、れ…」言いかけて消えてしまう。兼さんの手も僕に向けられてた。必死に兼さんの手を掴もうとする。

掴めない

「兼さんっ……!!!!」

「うおっ!!なんだよ!国広!!!」

ぱっと目が覚めた。嫌な夢だ。兼さんが折れる夢。そして隣には胡座をかいていつも通りの兼さんがいる。
ほっと安心をした。

「国広ぉ…寝言で俺を大きな声で呼ぶな、びっくりするだろ?」そう言いながら、ケラケラ笑っている。

「うん、ごめん、兼さん。なんか今日僕と兼さん出陣だから不安だったのかも。」
「そうかそうかー。だーいじょぶだ!俺がいるだろ?かっこよくてつよーい、俺が。」
そう言ってたくましい胸をドンッと叩きな?っと僕に同意を求めた。
僕もうん、と頷く。

刀であればいつかは折れる。そうすればまた兼さんと離れ離れ。もうそんな思いは絶対にしたくない。

「兼さん、僕は兼さんを絶対に守るよ。」
「なーにいってんだ、俺が国広を守ってやるよ」

そんな話をして出陣の準備。
戦闘服に着替えて刀としての役目を果たす。それが僕らだ。

時を越え、池田屋。
池田屋の敵は強い。僕は身を引き締める。僕と兼さんは外で戦い、他の刀は中で戦う。

ザッ…と音が聞こえた。
「兼さん!!後ろ!!」咄嗟に兼さんに伝える。…夢のような事がありませんように。
「おらよ!!」後ろから兼さんに襲いかかってきた敵に兼さんは反撃し一撃で仕留める。素早く避けそして敵を切る。本当に速くて綺麗だ。

そうやっていつも通りに敵を倒していく。夢通りにならなくてよかった、嫌な夢だった。
そして、僕は油断をしていた。
「国広っ…!!油断するな!!」兼さんの声が聞こえる。
ハッとすると目の前に敵がいる。僕に襲いかかってきた。刀をカキーンとならして応対するも、僕の力じゃやられそうだ。

「国広!どうした!!」
兼さん…僕は兼さんを守りたい。
「ぼーっとしてたよ、ごめん」
兼さんを守りたい。
「おまっ…おい!やられちまうぞ!!」兼さんは兼さんに襲いかかってくる敵をザクザクと倒してる。
僕はギギ…っと敵も僕も1歩を引かないままにらみ合ってる。こいつ、力が強い。僕が引いたら後ろに引いてこいつは圧し切ってくるはず。避けられるのか?僕は後ろに身をひこうとすると
「国広っ…!!だめだ!!」兼さんの声が聞こえた瞬間に後ろから来た敵に僕は貫かれた。
僕は後ろに身を引いた瞬間に他の敵に身体を貫かれた。馬鹿だなぁ…僕は。
「くっ…はっ…!!」僕は兼さんを守りたい。
貫かれた身体は冷たくなる。瞬時に冷たくなる。ああ。夢みたいに兼さんが折れなくてよかった。

「国広おぉぉ!!!」兼さんがザクザクと敵を倒し、僕をやった敵も素早い速さで倒してく。
兼さんは強いな…そんな事を薄れいく意識の中で考えていた。

ようやく他の刀も応援に駆けつけ、僕らの状況は勝ちになり落ち着いた。
落ち着かないのは僕の身体だ。ドクドクと血が止まらない。
「国広…折れるなよ…」
まだ折れてないらしい。折れそうな僕をそっと抱き抱えた。
「手荒く扱うと折れちまいそうだ。」兼さんの声は震えていた。

「国広…絶対折れるな。俺が抱き抱えて本丸に連れていくから…」兼さんは泣いていたかな…

僕は貫かれたけども折れる寸前だったんだ。だから辛うじて折れてはいないみたい。でも少しの衝動で折れてしまう状況にいるらしい。

ああ…兼さんの腕の中なら折れてもいいかな…なんて思ってると意識がなくなった。



暗闇から「国広…頼む折れないでくれ…」「薬研…!頼むから!!」そんな声が聞こえてきた。
兼さん。兼さんの声が聞こえる。僕は折れてしまったのか?

「国広っ…!!」

ハッと目覚める。
「国広ぉ…よかった…薬研…ありがとな…」そんな声が聞こえるけど僕はまだうつろうつろ。
ふわふわとして気持ちいい。温かい。

周りを見ると兼さんは僕の手を握っていた。
そして薬研がふぅ…と一息をついて、「大変だったんだぜ。国広、折れる寸前だし、兼さん取り乱してるし。」といって安心した眼差しを僕に向けていた。

「願い、叶って良かったな」薬研がそう兼さんに語る。
「おう…照れるから言うなよ。」なんて兼さんは言った。

もしかして、願い事って…
「「頼むから国広を折らないで助けてくれ」って来た時はびっくりしたぜ。」なんて薬研がいう。兼さんは照れたように軽く薬研にパンチをしていた。薬研はケラケラ笑っている。

ああ…幸せだな。

そっか。兼さんも僕と同じ事を願っていたんだ。
僕は兼さんを守りたい。兼さんは僕を助けたい。
意味合いは違うかもしれないけど、結果は同じ事を願っていたんだ。

「薬研、兼さん…ありがとう」

兼さん、もっと強くなって兼さんを支えなきゃね。兼さん借りは返すよ。

「あたりめーだろ、守るのは俺の役目だよ、国広」
「僕だって兼さん守りたいよ」

ありがとう、兼さん。



END

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