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【蜻蛉切】byちゃーこちーこ


主がここずっと鍛刀をしている。朝も夜も寒い夜中も。正直俺はすごく心配だ。
そして、近侍は俺。…そして何のために主が頑張っているかというと…また俺のため。

そう、ムラマサ。
妖刀と名高いムラマサ。この打刀を作るため。主は毎日鍛刀している。ムラマサは悪いやつではないけれど、俺の心配の種でもある。

「主…大丈夫ですか?自分は資源の事もありますし無理しない方が…」

主に恐る恐る声をかける。その声は少しだけ震えていたか。いや、自分でもわからない。主は自分のために必死にムラマサを作ろうとしている。

主はふぅ…とため息をついて額をぬぐい俺を見た。
「蜻蛉切、大丈夫よ。とりあえず、資源は貯めればいい。あなたのいう、本当は悪いやつではないムラマサ、見てみたいの。」
そう言ってニッコリと笑みを浮かべた。そして、目の奥は明らかに疲れている、そして、不安な色をしているのは間違いなかった。

「あなたも…兄弟いないとさみしいでしょ?」そう一言、また前を向き刀を作っている。

兄弟…か。確かに寂しい。来ていただければ自分は凄く嬉しい。でも主には無理して欲しくない。

「しかし…自分は主には無理をしていただきたくありません。心配です。」本当に心配だった。無理をして資源がつきてしまい、他の子たちの手入れをしてあげれなかったり、そんな状況になってしまったら…自分にも責任を感じるし何より、主自身が責任を感じる。

「そうね。でも、ムラマサを迎えてあげたい。私は。あなたの心配顔もみたいしね」クスッといたずらっ子のような笑みを浮かべ、そう言ってぴらっと主は紙切れを見せた。

「最後の1枚よ。2人で願い事をしましょう。そして、これで来なかったらもうおしまい。次迎える機会を全力で頑張るわ、約束する。」
そう言って富士札を見せてきた。
「あと。」また、ぴらっと紙を見せてペンをスッと出し。その紙は何色にも染まってない、真っ白な紙だった。
「ここに願い事を書きましょう。きっといまの私達、2人の願いは同じ事なはず。」

主はペンでキュッ、キュッと音を立てながら紙に、「ムラマサがどうかこの本丸に来てくれますように…」と書いた。

「蜻蛉切、ほら。」そう言って紙とペンを渡してきて、自分も…
「この本丸にムラマサがきていただけますように。」と書いた。

その紙を主に渡す。主は「ありがとう」と微笑みながら受け取る。

「んじゃ!最後の鍛刀。願いをまた更に込めて!お祈りしましょう!口に出しちゃダメよ?心の中でね?」
願い事は口に出しては叶わない、どこかで聞いたことがある気がする。
そう言って富士札を飾り、書いた紙を飾り、資源を入れる。
主は手を合わせて願っている。
自分も手を合わせて瞳を閉じて願う。


……主がいつもどんな時でも笑顔でいてくれますように。

そんな願い事をかけた。

主とはもしかしたら違う願いかもしれん。

「あ!蜻蛉切!できたよ!」そう言って主は刀を見る。しかし瞳は不安なまま。中身はまだわからない。

その刀は………



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