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【加州清光】by青空 聖

審『ヤダ!清光!折れないで…居なくならないでよ…っ!』


ねぇ、主。
俺は、主を守れて嬉しかったよ。



〜回想〜


今日は、本丸にいる殆どの刀剣たちが遠征や戦に出ていたりして、
本丸に残っているのは、近侍の俺と主だけ。

俺は、いつものように主に爪紅を塗ってもらっていた。


審『清光って、本当に可愛いね。初期刀にして正解だったよ』
 

そう言いながら主は目元が緩み、微笑んでいる事がわかる。

主は、口元を布で隠している為表情は分かりにくいが、
長い間近侍をしている俺だけには、主の少しの感情の変化さえわかる。
 

加「そーゆー、主だって綺麗だよ?俺は、主を誇りに思ってるよ?」

俺がそう言うと主は、恥ずかしそうに目を逸らし最後の指を塗り終えた。


審『はい!終わったよ!』
主はそう言い、爪紅を片付け始めた。

加「ありがとう、主」

うん、やっぱり主が塗ってくれる方が綺麗に塗れてる。  

審『どういたしまして。そうそう、万屋で買ってきた団子があるんだけど…加州もどう?』

主はそう言いながら、立ち上がり調理場に足を向けている。

加「え、団子?!いる!この前の団子、安定に取られちゃったからね〜」

審『そうなの?この間喧嘩してた原因は、それなのね。加州はここで待っててね』

主は、ふふっ…と僅かに声を出して笑い調理場に向かった。



主がいなくなった後、俺は主の部屋を見渡した。

すると、机の上にある一枚の書類に目がいった。


加「なに…これ…?」

その書類に書かれていた事は、
最近この本丸の近くにある別の本丸が時間遡行軍に襲撃を受け、
主とその他全刀剣が破壊されていた。と書かれていた。

審『きゃぁぁああ!』

その書類を読み、呆然としていた俺に主の悲鳴が聞こえた。

加「主っ!」

俺は急いで刀を持ち、主が向かった方に走っていった。

そこにあった光景は、主を取り囲む数十の時間遡行軍の姿だった。

審『清光…っ』

俺に気づいた主が、こちらに振り返った。
 
加「主、今助けるから!」
そう言いながら、俺は抜刀し近くにいた敵に斬りかかって行った。
 
審『清光、来ちゃダメっっ!』

主がそう言っているけど、俺は聞こえないふりをし周りの敵を斬って行く。


加「主は、俺が守る…」

俺は小さく呟いた。 


審『清光…』

俺は、最後の敵を斬り終え血を払い刀をしまった。


加「主、怪我はない?」

審『ええ、清光のおかげで』

加「なら、良かった…」
ホッとしたのも、つかの間。

パァン!

銃声が聞こえ主を咄嗟に抱きしめた。

加「っ…ぐぁっ…!」

俺は、背中に焼けるような痛みを受けた。

審『清光っ!怪我が…!』

加「俺は大丈…夫だからっ!」

俺は、主が無事なのを確認し痛みに顔を顰めながら振り向いた。

そこには、倒しそこねた残党がいた。
 
加「ちっ…。主は、ここにいて…。危なくなったらスグに叫ぶんだよ?」

審『でも…っ!』

加「主を、失いたくないんだ。だから、ここで待ってて」

俺がそう言いながら微笑むと、主は泣きそうな顔をして頷いた。

加「さぁて、一丁やりますか…っ!」

そう言い、俺は地面を蹴り上げ残党に斬りかかった。

加「フェイントに見せかけて…攻撃ッ!!」
敵の間合いに入り、一撃を浴びせた。
   

出陣している部隊が帰ってくるまで後、もう少し…。
それまで、持ち堪えられれば…ッ!

俺は、どんどん敵を斬り捨てていった。





そして、最後の敵を斬り捨てた後、俺はその場に倒れ込んだ。


審『清光…っ!!』
 

主は俺のそばに座り、俺の頭を膝を載せた。

〜回想終了〜

そして、今に至る。


審『バカ…!どうして、無茶なんて…』

主は、そう言いながら涙を流し始めた。

あーぁ、そんなに泣いてたら綺麗な顔が台無しじゃん…。

俺は、最期の力を振り絞り主の細に手を添えた。

加「ある…じ、泣かないで…?俺は…、主の笑ってる……方が好きだ…よ?」

審『やだよ…、そんな最後の言葉みたいな事言わない「主」』

加「"お願い"笑って…?」

俺は、意識が飛びそうなのを一生懸命踏ん張る。

審『そんなの、笑えるわけないじゃない…』
そう言いながらも、主は泣き笑いを浮かべた。

加「あるじ…、愛してる…」

俺は、そこで意識を失うと同時に


きえた。








End.

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