【加州清光】by青空 聖 ![](//static.nanos.jp/upload/tmpimg/62894/101.gif)
審『ヤダ!清光!折れないで…居なくならないでよ…っ!』
ねぇ、主。
俺は、主を守れて嬉しかったよ。
〜回想〜
今日は、本丸にいる殆どの刀剣たちが遠征や戦に出ていたりして、
本丸に残っているのは、近侍の俺と主だけ。
俺は、いつものように主に爪紅を塗ってもらっていた。
審『清光って、本当に可愛いね。初期刀にして正解だったよ』
そう言いながら主は目元が緩み、微笑んでいる事がわかる。
主は、口元を布で隠している為表情は分かりにくいが、
長い間近侍をしている俺だけには、主の少しの感情の変化さえわかる。
加「そーゆー、主だって綺麗だよ?俺は、主を誇りに思ってるよ?」
俺がそう言うと主は、恥ずかしそうに目を逸らし最後の指を塗り終えた。
審『はい!終わったよ!』
主はそう言い、爪紅を片付け始めた。
加「ありがとう、主」
うん、やっぱり主が塗ってくれる方が綺麗に塗れてる。
審『どういたしまして。そうそう、万屋で買ってきた団子があるんだけど…加州もどう?』
主はそう言いながら、立ち上がり調理場に足を向けている。
加「え、団子?!いる!この前の団子、安定に取られちゃったからね〜」
審『そうなの?この間喧嘩してた原因は、それなのね。加州はここで待っててね』
主は、ふふっ…と僅かに声を出して笑い調理場に向かった。
主がいなくなった後、俺は主の部屋を見渡した。
すると、机の上にある一枚の書類に目がいった。
加「なに…これ…?」
その書類に書かれていた事は、
最近この本丸の近くにある別の本丸が時間遡行軍に襲撃を受け、
主とその他全刀剣が破壊されていた。と書かれていた。
審『きゃぁぁああ!』
その書類を読み、呆然としていた俺に主の悲鳴が聞こえた。
加「主っ!」
俺は急いで刀を持ち、主が向かった方に走っていった。
そこにあった光景は、主を取り囲む数十の時間遡行軍の姿だった。
審『清光…っ』
俺に気づいた主が、こちらに振り返った。
加「主、今助けるから!」
そう言いながら、俺は抜刀し近くにいた敵に斬りかかって行った。
審『清光、来ちゃダメっっ!』
主がそう言っているけど、俺は聞こえないふりをし周りの敵を斬って行く。
加「主は、俺が守る…」
俺は小さく呟いた。
審『清光…』
俺は、最後の敵を斬り終え血を払い刀をしまった。
加「主、怪我はない?」
審『ええ、清光のおかげで』
加「なら、良かった…」
ホッとしたのも、つかの間。
パァン!
銃声が聞こえ主を咄嗟に抱きしめた。
加「っ…ぐぁっ…!」
俺は、背中に焼けるような痛みを受けた。
審『清光っ!怪我が…!』
加「俺は大丈…夫だからっ!」
俺は、主が無事なのを確認し痛みに顔を顰めながら振り向いた。
そこには、倒しそこねた残党がいた。
加「ちっ…。主は、ここにいて…。危なくなったらスグに叫ぶんだよ?」
審『でも…っ!』
加「主を、失いたくないんだ。だから、ここで待ってて」
俺がそう言いながら微笑むと、主は泣きそうな顔をして頷いた。
加「さぁて、一丁やりますか…っ!」
そう言い、俺は地面を蹴り上げ残党に斬りかかった。
加「フェイントに見せかけて…攻撃ッ!!」
敵の間合いに入り、一撃を浴びせた。
出陣している部隊が帰ってくるまで後、もう少し…。
それまで、持ち堪えられれば…ッ!
俺は、どんどん敵を斬り捨てていった。
そして、最後の敵を斬り捨てた後、俺はその場に倒れ込んだ。
審『清光…っ!!』
主は俺のそばに座り、俺の頭を膝を載せた。
〜回想終了〜
そして、今に至る。
審『バカ…!どうして、無茶なんて…』
主は、そう言いながら涙を流し始めた。
あーぁ、そんなに泣いてたら綺麗な顔が台無しじゃん…。
俺は、最期の力を振り絞り主の細に手を添えた。
加「ある…じ、泣かないで…?俺は…、主の笑ってる……方が好きだ…よ?」
審『やだよ…、そんな最後の言葉みたいな事言わない「主」』
加「"お願い"笑って…?」
俺は、意識が飛びそうなのを一生懸命踏ん張る。
審『そんなの、笑えるわけないじゃない…』
そう言いながらも、主は泣き笑いを浮かべた。
加「あるじ…、愛してる…」
俺は、そこで意識を失うと同時に
きえた。
End.
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