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日本では初めてのオフの日。
昨日は、日本初ライブで忙しかったせいか時間の流れがゆったりと感じる。
「ウォニ、ちょっと俺出かけてくるな^^
ウォニも行く?」
Neunは、この宿舎に移り住んでから既に1〜2週間程たっていたため、この周辺なら地図などのサポートなしでも色んな場所に行けるようになっていた。
「え、どこ行くの?」
ソファに寝転がりながら日本語向上の為に日本のアニメを見ていたをウォニが、画面から視線をスジュムに移して訊ねる。
勿論、二人の会話は日本語。
日本にいる間は、いつもできるだけ日本を使うと、二人で決めたのだ。
「近くの本屋」
「本屋かぁ〜、じゃあ僕いいや。
いってらっしゃ〜い^^」
「ん。行ってきま〜す」
スジュムは一人、本屋へと出かけた。
サングラスと帽子も着用。
さすがに、S-Jumだとバレたくない。
本屋は、ちょうど昼だったからかすいていた。
(あ、これ面白そうだな〜…)
スジュムは1冊の漫画を手に取り、パラパラとめくってみる。
(うん、振り仮名もあるし俺にも読める)
そう思ったスジュムは、漫画を片手にレジに向かおうとした。
「あ、あの…ちょっと良いですか…?」
背中の方から、男声が聞こえた。
(…まさかS-Jumってバレた…?)
そう考えながらも、スジュムは恐る恐る振り返る。
「何ですか…?」
「あの、その漫画なんですけど…!」
男性はスジュムが持ってる漫画を指差す。
(なんだ…バレたんじゃないのか…;)
「これがどうかしましたか?」
「俺に譲ってほしいんです!」
「は、はぁ…」
スジュムは男性の勢いに驚き、間の抜けた返事をする。
「ここら辺の本屋には何処にも無くて!
ネットでも入荷待ちで…!
どうしても譲ってほしいんです!」
スジュムは、男性の熱意に負けた…というか、自分はたまたま手に取って買おうとしただけだったので、快く男性に漫画を手渡した。
「はい、どうぞ^^
本も貴方に買ってもらった方が嬉しいと思います」
「ありがとうございます!
ちょっと待っててください!」
男性は、そう言うとレジに走った。
「…吃驚したぁ…;」
そして男性は、直ぐに買った袋を手にしてスジュムのもとへと走ってきた。
「ホントにありがとうございました!
あの、これから時間ありますか?」
男性は満面の笑みで訊ねてくる。
「は、はい」
スジュムは、男性の勢いに押されて返事をしてしまった。
(あ〜…ま、良いか…時間はあるし)
「ちょっと隣の喫茶店に行きませんか? あ、勿論俺の奢りですよ!」
「でも…悪いですから…」
「全然悪くないですよ!
ささっ行きましょう!」
男性はスジュムの手を引き、隣の喫茶店に入った。
「あ、あの…」
スジュムは、おどおどしながらも店員に案内された席につく。
「どうしました?
あ、自己紹介まだでしたね!
すみません、興奮してたんで…!」
「…は、はい…」
「俺は、山下橋之助です!
山梨出身4月生まれの21歳独身です!」
「あ、俺は…イ・スジュム…です。
ソウル出身10月生まれの21歳独身…です」
普通に、本名を名乗るスジュム。
「あ、同い年なんだ!
しかもソウルって…韓国人…!?」
「あ、はい…韓国人です」
「日本語上手いなぁ!
普通に日本人だと思ったよ〜!
あ、同い年だからタメ口OKだよね!」
「…タメ口って…?」
「あ〜、砕けたしゃべり方?みたいな。
“です、ます”とかじゃなくて“だよ、だね”みたいな!」
「あ〜、はい…^^」
「はいじゃなくて、“うん”!」
「あ、うん…^^;」
橋之助の勢いに押されつつも返事をするスジュム。
「で、日本には仕事で来たの?」
「あ、うん」
「へ〜!どんな仕事?」
「あ、歌手…を、サポートしに…」
「じゃあ、音楽関係者かぁ〜!」
「うん^^;」
「スジュム…あ、スジュムって呼んでも良いよね?」
「うん、OK」
「俺も橋之助って呼び捨てでOKね!
で、どんな歌手のサポートしてるの?」
「え…どんなって?」
「ん〜…
例えば誰?グループ名とかさ」
「えっと…Neunとか…かな^^」
「あ、Neunは聞いたことあるよ!
最近日本デビューした韓国のユニットでしょ?
顔は知らないけどね〜(笑)」
『顔は知らない』という言葉に、ひとまず安心するスジュム。
「そっか^^」
「あ、そうだ!
今度NeunのCD買ってみよ!」
「え゙…;」
「ご注文はお決まりでしょうか?」
店員が、注文表を持ってきた。
「あ、俺はミルクココアで!
スジュムは?」
「じゃあ…僕はコーヒーで…」
「ミルクココアとコーヒーですね。 少々お待ちください。」
店員がにこやかに、裏方へ引っ込んだ。
「すっげぇなスジュム!」
「え、何が?」
「俺、コーヒー飲めないだよ〜!
苦いの苦手でさ〜」
「ああ…それでミルクココアなんだ^^」
「うん。
妹にさ、あ、俺妹1人いるんだけどね。
コーヒー飲めないなんてカッコ悪いって馬鹿にされたよ〜(笑)」
「カッコ悪いかな?
ウォ…俺の友達もコーヒー飲むことできないよ^^
だからいつもカフェではクリームソーダだよ」
「お〜!俺と気が合いそうだなぁ!」
「そうだね^^オーラも似てるよ」
スジュムは、ウォニを思い出して微笑む。
「会ってみたいな、その人!
その人も韓国人?」
「うん、仕事の仲間っていうのかな?」
「へぇ〜!
じゃあ、その人も日本語OK?」
「うん^^
僕よりもボキャブラリー多いよ〜」
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