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「お客さ〜んっ!
OKでましたよ〜^^」
Woniの言葉に、割れんばかりの歓声が上がる。
「二人が一緒に楽器を使って歌う曲は少ししかないですけど、リクエストはありますか?」
「どの曲も好きなんで、Neunの二人にまかせます!」
「じゃあ…まだ二人で楽器を使って歌う、日本語の曲が無いので…韓国の歌で良いですかー?」
S-Jumが観客に呼びかける。
同時に歓声が上がる。
「じゃあ…何歌おうか…」
「そだね…『Misstate Lover』は…?」
「OK、『Misstate Lover』歌います!」
客席から歓声が上がる。
二人のMCの間に、スタッフがセットした楽器を準備する二人。
S-Jumのギターのチューニングも終わり、Woniはキーボードの前に、S-Jumはギターを抱えて座った。
Woniのキーボードに合わせて、S-Jumもギター演奏を始める。
切ないバラード。
Neunの母国、韓国の言葉で歌われる。
そして、歌が終わって静まり返える会場。
しかし直ぐに会場が拍手の音で満ちた。
「ありがとうございました^^」
「じゃあ…最後の質問行きましょう!」
「あ、そうだ!」
「どしたのS-Jum?」
「ちょっと、スタッフさん!
判子押すとき使う赤いやつください!」
突然のS-Jumの思い付きにも直ぐに対応するスタッフ。
S-Jumの元に、朱肉が用意された。
「ありがとうございます^^
これ、なんていうんですか?」
S-Jumの問いかけにスタッフが「“しゅにく”です」と答えて、引っ込む。
「あ〜、朱肉!」
「S-Jumその“しゅにく”どするの?」
Woniが不思議そうに訊ねる。
会場も、ざわつく。
「これを…Woni、指貸して!」
「ん〜?」
Woniは、不思議そうな生返事をしながらも素直に指を差し出す。
S-Jumは、Woniの指に朱肉をつける。
「わぁ!?;」
いきなりのS-Jumの行動に驚くWoni。
「はい、色がついた指立てて!」
Woniは、S-Jumの指示通りに右手の人差し指を立てる。
「はい、僕の方に指向けて目を瞑って!」
素直にS-Jumを指差し目を瞑るWoni。
「じゃあそのまま僕の方に歩いてきて!」
Woniは言われた通りに、目を瞑ったままS-Jumの方へゆっくり歩いて行く。
すると、指に何かが当たった。
「はい、Woniストップ!
目を開けて〜^^」
Woniが目を開けると、目の前には紙を持ったS-Jum。
S-Jumが持っている紙の一角には、Woniの赤い指紋が。
その指紋の下の文字は『X-27』。
「あ〜S-Jumは二人の選んで言った数じゃなくて、てきとーに選びたかったんですね〜^^」
すぐにS-Jumのやりたかったことを理解し、解説するWoni。
「そう!さっすが〜^^
で、Woniいくつだった?」
「『X-27』です!」
Woniが座席番号を読み上げる。
そして『X-27』の座席へ向かうスタッフ。
当たったのは、50代くらいの奥様。
「あらまぁ…//」
そう言いながらスタッフからマイクを受け取る奥様。
「質問、どーぞ!」
Woniがにこやかに言う。
「じゃあ、ええっと……//
日本で好きな場所はどこですか?」
奥様は意外と普通の質問をしてきた。
Neunは、直ぐに答える体制に入る。
「好きな場所〜…ん〜…
まだ僕たち日本で行った場所少ないからなぁ〜…S-Jumは、どこ?」
「そうですね…東京の中で良いですか?
東京の中は色々な所に行けたので^^」
数日前、Neunは日本に早く慣れる為にマネージャーの田中に、東京の名所を案内してもらっていた。
逆にお客さんに質問するS-Jum。
「はい//」
思いがけないS-Jumとの会話に、奥様は声が弾む。
「ありがとうございます^^
僕は浅草ですね!雷門の近くで売っている、人形焼きが美味しかったので^^」
S-Jumは、食べた人形焼きを思い出してホクホクした満足そうな顔で答える。
「あ〜、あれ美味しかったねぇ〜!
僕は巣鴨ですね〜^^
おじいさんおばあさんと、いっぱい話せて楽しかったです!」
Woniが元気いっぱいに答える。
なんだか会場が和やかな雰囲気になった。
しかし、もうミニライブも終了の時間が近づいてきていた。
「なんだか時間が過ぎるの早いですね…」
「も、お別れの時間が来ていました…」
S-JumとWoniが、名残惜しそうに言う。
会場からは、え〜!などの、声が上がる。
「僕たちも、別れるのはむなしいですよ!」
「Woni、【悲しい】だろ!^^;」
「あ、間違った?;
でも、悲しいのはホントですよ!」
「でもまた皆さんの前で歌える、と、信じているので!」
二人の名を呼ぶ声が沸き上がる。
「最後に皆さんと歌いたいと思います!」
「皆さんが良く知ってる日本の曲です^^
Neunが初めて覚えた日本の曲〜!」
「丁度、今の季節にピッタリです!
Woni、タイトルは〜?」
「『さくら』!」
Woniがそう叫ぶと琴の音色が会場に響く。
「「皆さんも、一緒にお願いします!」」
さくら さくら
弥生の里も 見渡す限り
霞か 雲か かすかに 匂う
さくら さくら 花盛り…
会場が1つになり、全員で桜を斉唱した。
「ありがとうございます!」
「ありがとございます!」
二人に、会場から拍手が沸き上がる。
「ありがとうございます!…あー…
本当に上手くない日本語で申し訳なかったです…;;」
「次はもっと勉強してきますよ!
それ、Neunからの約束ですっ!」
「ん?なんか今のWoniの言葉、おかしかったような…」
「…〜っ!
次までに、上手くなります!//」
「…はい、わかりました^^」
「ここまで本当にありがとうございました!」
S-Jumの言葉を合図に、深くお辞儀するNeun。
「また、お会いできることを楽しみにしてます^^」
「それでは…」
「「Neunでした〜っ!」」
二人は、客席に手を振りながら舞台袖へと帰っていった。
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