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「お疲れ様。スムーズで良かったよ!」
運転しながら話す田中。
「はい^^」「ありがとうございます」
「明日のスケジュールは、歌のレッスンね。
まぁ、レッスンと言ってもRainy tearsの歌いかたの相談ていうのかな?」
「う〜ん…何となくわかりました(笑)」
「よかった(笑)
その他は、明日は何もないから、それが終わり次第明日は仕事終わりね!」
「じゃ、またスムーズに頑張ります^^」
「Neunファイティ〜ン!」
「ははっファイティン!」
ウォニの掛け声に、田中も便乗。
*
「さ、着いたよ!
明日に備えてよく休んでね?
じゃ、また明日迎えに来るから」
「ありがとうございました」
「また明日〜!」
田中は、二人を宿舎の駐車場で下ろすと車を出した。
「ん〜っ!」
ウォニは大きく伸びをする。
「さ、部屋に行こう^^」
スジュムは部屋に入り、電気をつけた。
ウォニは部屋に入るなりソファに倒れ込んだ。
「ペゴパ〜…」
(※ペゴパ=韓国語で“お腹が空いた”)
「珍しいなぁ〜…
ウォニが俺より先に言うなんて(笑)」
スジュムがヤカンをガスコンロにかけながら笑う。
「ペ〜ゴ〜パァァァア!」
ウォニはソファにうつ伏せになったまま、じたばた暴れている。
ピンポ〜ン
部屋の呼び鈴が鳴った。
「ん?」
ピンポ〜ン
「はーい!」
スジュムが覗き穴から、客は誰かを確認する。
「大家さん!待ってください、今開けます!」
相手が大家さんだとわかると、慌てて扉を開くスジュム。
「仕事お疲れ様ね。
ジュムちゃんが出るの珍しいねぇ。
いつもはウォニちゃんが出るのにぃ」
「ウォニはお腹が空いて…えっと…
…力が出ないみたいで動きません…?」
「あ〜…力尽きて動けないのねぇ」
大家さんは、スジュムの言葉をフォローしつつ、持っていた鍋をスジュムに渡す。
「はい、これ!
お腹が空いてるなら丁度良いねぇ〜
二人で食べて^^」
「ありがとうございます!
またお鍋はお返しに行きますね^^」
スジュムがお礼を言うと、大家さんは笑顔で帰っていった。
「ウォニ、大家さんがくれたよ〜…
お!…肉じゃが?だ!」
スジュムが鍋の蓋を開けると、美味しそうな匂いが…
「良い匂い!」
ソファから飛び起きるウォニ。
スジュムは、そんなウォニを楽しそうに横目で見ながら、ご飯や肉じゃがを皿に盛りつける。
キムチもちょっこり、食卓に並ぶ。
沸いたお湯で自分には珈琲、ウォニには生姜湯を淹れる。
そして、二人で食事を済ませて片付けた。
「あ、メール!」
ウォニが思い出したように携帯を開く。
スジュムも、慌てて携帯を開いた。
―――――――
サービスショットありがとうvV
すごくうれしいよ!
しごとちゅうでも、メールのへんじ くれてありがとう( ´艸`)vV
――――――――――――――
このWoniかっこいいね!(b^ー°)
もちろんS-Jumもかっこいいよ!
Neunペンとして、ふたりがくれた しゃしん うれしいよ(δεδ*)vV
ふたりとも、しごと いそがしいのにメールくれてありがとう☆
―――――――
(※ペン=韓国語で“ファン”)
結子から、日本語に慣れない二人を気遣って平仮名と片仮名で打たれたメールがそれぞれに届いていた。
二人はそれに、再び写真添付したメールを返信した。
そして携帯を閉じる。
それから、順番に風呂を済ませて眠りについた。
*
「おはよー!」
「あぁ…おはよう…」
スジュムは眠たい目を擦りながら起きてきて、二人でウォニの作った朝食を食べた。
スジュムは低血圧な為、朝に滅法弱い。
なので、そのスジュムを起こすのがウォニの日課である。
仕事に出掛けるを支度をしていると、不意にスジュムの携帯が鳴った。
「ヨボセヨ?」
(※ヨボセヨ=韓国語で“もしもし”)
「スジュムスジュム!それ日本よーだよ!」
まだ完全に眠気が覚めていないスジュムは、日本用の携帯の電話に韓国語で出てしまった。
ウォニの言葉に驚いて眠気が覚めたスジュムは、改めて日本語で電話に出る。
「も、もしもし?」
『あ、もしもしスジュム?』
「うん、あー、橋之助かぁ!」
携帯のディスプレイに表示された文字も見ずに電話に出たスジュム。
『おぉ!良かったぁ…電話したら意味わからんこと言われたから、間違えたかと思った…;』
スジュムは、寝ぼけて韓国語で電話に出てしまったのだと正直に謝った。
橋之助は、そこまで気にするなよ、と気楽に笑う。
「で、どうした?」
『いやー…スジュム達、今週休み無いかな〜
って思ってさ!』
「今週…は…駄目なんだ;
来週はまた韓国に戻るし…」
スジュムは、申し訳なさそうに言う。
『そか…いや、気にするなよ?』
「待って!休みは無いけど…
今日、仕事がスムーズに終わればその後は休みになるんだ!」
『まじ!?』
「え…?」
『あ、まじは、本当かってニュアンスで使ったんだよ;』
「え、あぁ…;本当だよ!」
『じゃあさ、2〜3時間で良いんだ!
また家に来てくれよ!』
「あぁ…」
スジュムは、携帯を耳から離して“今日、橋之助の家にいけるよな?”とウォニに訊く。
勿論ウォニは、首を縦に振った。
「うん、ウォニも大丈夫だって!」
『お〜!』
橋之助は嬉しそうに声を上げる。
『じゃあ、また連絡するからな』
スジュムが、返事をしてお互いに電話を切った。
「スジュム…きょーは、絶対早く終わらせよーね!」
ウォニも橋之助の家に行くとなると、更に気合いが入った。
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