5/5
「お疲れ様です!」
舞台袖に控えていたスタッフが、直ぐにNeunにタオルと水を渡す。
二人はお礼を言いながら受け取り、楽屋へと入って行く。
「良かったよ〜!」
楽屋に入るや否や、田中が二人に拍手を送る。
「かっこ良かった?かっこ良かった?」
ウォニが、ハイテンションで訊ねる。
「かっこ良かったよ(笑)」
田中が、親指を立てる。
「さ、着替えて!
この後、打ち上げやるってよ〜!」
「打ち上げ??」
スジュムは頭に?マークを浮かべながらも、着替えに取りかかった。
「花火ですか!?」
着替えながら興奮するウォニ。
「違う違う(笑)
成功をお祝いする飲み会みたいなの^^」
「飲み会…お酒ですか?」
「そう!もしかして、酒苦手?」
「ん〜…嫌いじゃないですよ^^;」
「いつもあんまり飲まないから…;;」
「なんか微妙な反応だなぁ(笑)
ま、二人が主役だから!
参加は絶対だからね〜!」
田中は、荷物を嬉しそうにまとめる。
「田中さんザルだからね〜(笑)」
田中と仲の良いスタッフが言う。
「ザル?…猿?どーぐ?」
「うーん…日本語難しい…;;」
スジュムとウォニは、頭の中がぐちゃぐちゃな様子。
「あ〜、ザルって言うのは…
道具のザルってあるでしょ?」
「あー…はい」
スジュムは、ザルを思い浮かべる。
「いくら水を上から流しても溜まらない。
…網になってるからね。
それみたいに、お酒をいくら飲んでもザルみたいに溜まらないから酔わない人ってニュアンスの言葉だよ」
「ほ〜…」
ウォニから感心の声が。
スタッフの説明でなんとか理解した様子。
「さて、帰り支度終わったね?」
「会場も片付け終わりましたー!」
と、1人のスタッフ。
「じゃ、居酒屋“流れ屋”行きましょう!
先導する車からはぐれないようにお願いします!」
はーい!と元気に返事をするスタッフ達。
「はい、Neunは俺の運転する車ね〜!
来たときと同じ車乗って下さいね!」
田中は、そう言いながら外の様子を伺う。
「あ〜…やっぱいるな…」
田中が言う「いる」というのは、所謂“出待ち”をするファン達。
「別に、だいじょぶですよ!」
「そうですよ、そのファンの皆さん達のお陰でNeunがあるんですから」
「そう? じゃあ、ここから突破しても大丈夫?」
「「はい^^」」
Neunの言葉に田中は微笑み、そして、出口のドアを開けた。
Neunの姿が見えた瞬間、ファンから黄色い声が上がる。
出待ちのファンは、花束やプレゼント、色紙とサインペンを持っている人が多い。
スジュムとウォニは、S-JumとWoni…Neunとして、ファンに笑顔を向ける。
そして、できるだけ多くのファンと握手やサインをし、お礼を言いながらプレゼントや花束を受け取った。
その間、デジカメや携帯でNeunを写真に納めるファンも多かった。
「ありがとうございます!」
「ありがとございます!」
と、お礼の言葉を述べてから、二人は車に乗りこんだ。
「対応早いなぁ、流石になれてるね;;」
ファンの波にのまれながらも、何とか脱出し車の運転席に乗り込む田中。
「はい^^」
「韓国じゃ、もっと多いから^^;」
「日本では、デビューしたばかりだもんね
だんだん出待ちも増えるよ(笑)」
田中は、車のエンジンをかける。
「「……^^;」」
「流れ屋、結構ここから近いからね」
直ぐに着くよ〜と、運転しながら言う田中。
その後、居酒屋で打ち上げが行われた。
スタッフ15名ほどと、Neunと田中。
Neunは、あまり酒をのまずにひと足先にタクシーで引き上げることに。
「え〜Neunの二人はあんまり飲んでないじゃないですか〜?」
酔った女性スタッフがNeunに酒を進める。
「あはは〜良いんですよ〜^^;」
「僕、もー寝る時間ですから…^^;」
Neunは、そう言いながらスタッフに挨拶をし、席を立つ。
「あ、二人とも僕も帰るよ!
マネージャーだからね(笑)」
田中もスタッフに挨拶をして席を立った。
「旦那!明日車取りに来るんで!」
お得意様なのか、田中は店主にそう言う。
「はいよ!」
店主も、慣れた様子で返事をする。
いつものことなのだろう。
(…その後、酒を飲んだスタッフ達は、酒が飲めないスタッフが、ワゴン車で送り届けたとか。)
「タクシー!」
田中が止めたタクシーに乗り込む3人。
そして、田中がNeunの下宿先近くの住所を運転手に告げる。
「これからのスケジュールだけど…
明日は休みだから、よく休んでね
次の日からは、バリバリ仕事だから(笑)」
「「はい^^;」」
「はい、これ今月の詳しい日程表。
この間渡したのよりも細かく書いてあるから。
しっかり漢字にも振り仮名ふってあるからね^^」
「ありがとうございます」
スジュムが二人分の日程表を受け取る。
「あ、もう着くね…
注意しておくけど、くれぐれも外に出るときは軽く変装してね?
理由はわかるよね?」
「はーい!」
「わかってますよ^^」
そして、目的地に着いた。
「じゃあ、また明後日!
何かあったら電話してね〜」
二人の降り際に田中が言う。
「はい、お疲れ様でした^^」
「ありがとございました!」
二人はそう言い、再びタクシーが走り出すのを見送ってから日本での宿舎へ帰っていった。
そして疲れた二人は、直ぐにシャワーを浴びて眠りについた。
*Back
[TOP]