非・現実奇記
V
「寒い‥もうダメかもしれない‥」
男があまりの寒さに弱音を吐いていると、また視界に光が瞬いた。
「ん?もしや‥いや、また蛍だろう」
ここに来るまでにたくさんの動物や生物の死骸を見てきた。
男はその死骸を見つける度に抱えていた疑問が確信へと近づいていった。
だが、しかし…
「もう‥ダメだ…ここまでか…」
男は、あまりの寒さと衰弱により、その場に倒れた。
この男もここで終わりか…。
あれからどのぐらいの時間が経ったのだろう。
目が覚めると、見慣れない建物の中にいた。
「あれ?なぜ私は…」
確か氷漬けの道端に倒れたはずだ。
しかし、ここは暖かい。
「えっと…わからない…」
男はなぜここにいるのか全くわからなかった…
その時、部屋のドアが開いた。
?「あ、ようやく目覚めたわね」
男「だ、誰だ!?」
?「私は嶺川。あなたの名前は?」
男「私‥?私は…誰だ…」
嶺川「記憶が無いのね?仕方ないわ‥あんな所にいたんですもの」
男「あんな所?」
嶺川「ここは、氷の国。つまり『フローズン・ランド』よ」
男「‥フローズン・ランド!?」
男は聞いたことも無い国の名前に驚いた。
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