非・現実奇記
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「すいません!」
男は明かりの方に向けて叫んだ。
しかし、何も反応は聞こえなかった。
「すいません!すいませーん!」
男は何度も叫んだ。
明かりの元にたどり着いた男は驚愕した。
それは倒れたよくわからない物体だった。
いや、これは‥生物か?
「なんだこの‥なんだこれ…」
男は説明のしようが無かった。
これは…何なんだ?虫か動物か?
しかし、よくわからない物体のお尻のような所が明るいのはわかった。
「もしかして‥蛍?巨大な蛍なのか?」
確かに蛍が巨大化したものっぽかった。
しかし、お尻の明かりという先入観により他が浮かばない。
「蛍だとしても‥何故?何故こんな大きさなんだ」
この蛍らしき物体はゆうに1mは越えてるであろう。
簡単に説明するなら小学校高学年あたりの大きさか。
「だが、この蛍は死んで‥いや、死にかけてるな」
その蛍らしき物体の口がパクパク開閉している。
恐らく衰弱だろう。
「可哀想だが、私にはどうもできない‥。すまないな‥」
男はそう言うとまた真っ直ぐに歩き出した。
男にまた進展があるのはそれから数十分後の事である。
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